山で育った駒大のルーキー山川拓馬 入学前から熱望の5区で好走

加藤秀彬
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 「山の神になりたい」と宣言する駒大の1年生が、堂々の箱根デビューを果たした。

 山登りの5区を任された山川には二つの考えがあった。「先に行かれたら後ろに付く」「来なかったら後ろにも付かせない」

 ほぼ同時にたすきを受け取った青学大の脇田(4年)は前へ出なかった。ならばと、果敢に攻めた。後半は苦しみながらも粘り、区間4位と好走。一度も先頭を譲ることなく往路優勝のゴールテープを切った。

 長野県の山あいにある箕輪町で育ち、地元の上伊那農高を出た。「ほぼ平坦(へいたん)なところがない山道で生活していた」といい、山登りは昔から得意だ。駒大では入学前から「5区を走りたいです」と大八木監督に熱望していた。

 学生3大駅伝で3冠を狙う駒大ではメンバー争いが激しい。山川が走った5区の候補には、前回大会で区間4位の金子(3年)も控えていた。監督から出場を明言されたのはレースの1週間前になってからだった。

 1人の力に頼らない強さが今季の駒大にはある。2区のエース田沢(4年)は1カ月前に新型コロナウイルスに感染し、この日は区間3位と万全な状態ではなかった。同学年で1区の円(つぶら)は言う。「(田沢に)今まで何度も助けてもらったから、次は自分たちがカバーしないと」。そんな認識も選手たちの背中を押した。

 駒大は復路にも主力選手を残す。史上5校目の3冠は着実に近づいている。(加藤秀彬)

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この記事を書いた人
加藤秀彬
スポーツ部
専門・関心分野
陸上、サッカー、海外スポーツ