【都内自治体予算まとめ】福生は高齢者にスマホ貸与 不公平の声受け
東京都内の自治体で、新年度の一般会計予算案の発表が始まりました。各自治体の主な政策や少子化対策など関心の高い話題をタイムラインで詳報します。
■■■2月24日■■■
調布市
高校生までの医療費、所得制限なしで完全無償化
東京都調布市は24日、高校生世代までの子どもの医療費を所得制限なしで完全無償化する政策(必要経費約11億5千万円)などを盛り込んだ2023年度一般会計当初予算案を公表した。市内の子どもは18歳を迎える年度の末まで、無料で医療を受けられるようになる。
同市では従来、高校生だけでなく、小中学生も一部を除き自己負担があった。新年度に高校生世代の医療費助成を充実させる都や23区の動きを受け、市も「完全無償化」することにした。
子育て支援を巡っては、一部の自治体で給食費を無償化する動きもある。長友貴樹市長は「調布市で給食費を無償化するとなると、年9億円はかかる計算。市の財政状況を考えると、一気に無償化するのは現時点では難しいところだ」と話した。
また市は24日、性的少数者のための「パートナーシップ宣誓制度」を創設すると発表した。市営住宅で性的少数者同士が同居する際に配慮する条例案などを、市議会2月定例会に提出するとしている。
稲城市
公共施設の太陽光発電設置を民間資金で
東京都稲城市は新年度、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現に向けて本腰を入れる。取り組みを具体化する計画をつくり、公共施設の屋上で民間に太陽光発電設備の設置を進めてもらい、市が電力を買い取る手法を取る。24日、関連経費約1940万円を計上した新年度予算案を発表した。
市はカーボンニュートラルの実現に向けた宣言をする方針だ。これを受けて、家庭や事業所を含む市域全体の排出量の測定法を定め、削減への道筋を示す計画をつくる。
市役所や学校の屋上に太陽光発電の設置を進めるため、民間事業者が設置費を持ち、市が電力を買い取るPPAという手法を活用。初期負担なしで導入を進める考えだ。また、住宅での太陽光発電や断熱窓の整備費の補助枠も拡大する。
■■■2月22日■■■
清瀬市
0~6歳に1万円、所得制限なし
東京都清瀬市は22日、市内の0~6歳児に1万円を給付すると発表した。所得制限はなし。児童手当を受給している世帯は6月に自動的に振り込み、それ以外の世帯は申請を受けてから振り込む。
対象は2016年4月2日から23年4月1日までに生まれ、同日時点で市内に住民票のある子ども。3659人、2746世帯が対象になると市は見込んでおり、4289万5千円の予算を組んだ。
渋谷桂司市長はこの日の会見で「未就学児がいる家庭は物価や燃料費の高騰でかなり家計に影響が出ている。限られた予算の中でこうした家庭にフォーカスしたい。これをきっかけに定住や移住を考える世帯が増えるとうれしい」と話した。24年度以降の政策の継続については「物価の動向や都、国の考え方を見ながら検討したい」と明言しなかった。
羽村市
学校の中に学童 市立公園は指定管理者制に
東京都羽村市は2023年度の重点施策の一つに「子どもたちへの投資」を掲げ、学童クラブの機能拡充やクラブ間の交流促進などに力を注ぐ。
22日発表した予算案に、学校施設内での学童クラブ運営のモデル実施事業に2790万円、連携アドバイザーの任用などに195万円、学童クラブ支援員・補助員への研修実施や交流促進に151万円などを計上。このほか、放課後子ども教室の開室数の拡充に1274万円、スイミングセンターを活用した小学校の水泳授業の試行実施に641万円などを盛り込んだ。
また、新年度から市立公園・児童遊園全83カ所に指定管理者制度を導入して利便性を高め、利用促進を目指す。指定管理委託料は計8800万円を見込む。
橋本弘山(ひろたか)市長は「学童クラブは学校の中で行われるのが安全だと思うが、今までなかなかできず、今回初めて小学校の中で実施する運びとなった。公園管理の指定管理者制度導入は、近隣(の自治体)に先がけてやらせていただく」などと述べた。
一般会計予算案の総額は236億円で、これまで最高だった2017年度当初の226億円を上回り、過去最大となった。
福生市
65歳以上にスマホ無料貸与、LINEなど学ぶ講座
東京都福生市は22日、高齢者にスマートフォンを無料で貸与し、使い方を学んでもらう事業を始めると発表した。2023年度当初予算案に659万円を計上する。
対象はスマホを持たない65歳以上の市民で、希望者に約5カ月間貸与し、メールやLINE、電子申請の基本操作などを学べる基礎講座(計5回)の受講機会も提供する。夏までに業者を選定し、今秋から30人に貸与する予定。24、25年度も続けるという。
加藤育男市長は「コロナ禍で打ち出した経済対策の中で、とくにPayPay(ペイペイ)などのキャッシュレス決済を使うものについて、高齢者から『不公平だ。私どもはわからない』といった声などが届いた」とし、自ら担当部署に予算化を働きかけたことを明かした。体験期間を終えた後、機器購入にあたっての支援なども行う。
市が最重要と位置づける子育て施策では、今春、庁内に「子ども政策課」を創設。中学生までの子がいる世帯が市内の協賛店(現在約150店)をお得に利用できる「まるとくカード」のデジタル化や専用サイトの構築(予算額639万円)などを進めていく。新たな施策としては、こども食堂に対し、1団体に材料費月額2万円まで、初期費用50万円までの補助を始めるなど、子どもたちの居場所づくりにも力を注ぐという。
一般会計の総額は今年度当初の261億円を超す272億円で、2年続けて過去最大を更新した。
■■■2月20日■■■
国分寺市
災害備蓄品の購入、半額を補助
東京都国分寺市は新年度から、自宅での災害備蓄品の購入に、1世帯あたり最大5千円を補助することを決めた。20日に発表した2023年度一般会計当初予算案にそのための費用、約5300万円を計上した。災害時も自宅が無事でそのまま過ごせれば、避難所より少ないストレスで過ごすことができるとして、可能な範囲で備蓄品を活用して生活を続けてもらおうとの狙いだ。
1923年の関東大震災から100年にあたるのを機に、災害に強い街づくりの一環として新規で盛り込んだ。市が今後リスト化する電池や簡易トイレなど災害時に必要な品々を購入した場合に、費用の半額(最大5千円)を補助する。
同市の23年度一般会計当初予算案は560億9262万円。年度当初としては過去最大となった。
狛江市
強盗殺人事件受け、カメラなど防犯設備に補助
東京都狛江市は20日、市内で1月に発生した強盗殺人事件を受け、住宅や事業所のカメラなど防犯設備の設置費を一部補助すると発表した。新年度予算案に事業費1779万円を計上した。
防犯カメラのほかに、補助鍵や録画機能付きインターホンの取り付け、防犯ガラスへの交換などが対象。費用の半額を1万円まで補助する。住宅や事業所1軒につき1回まで。自治会や商店街が設置している防犯カメラの保守点検や修繕の費用も一部補助する。松原俊雄市長は「事件後に市民から不安の声が寄せられ、急きょ予算を組み直して捻出した」と説明した。
子育て支援策として第3子以降の小中学校給食費を無償化する。新生児1人につき2万円を給付する「出産祝金」も始める。いずれも所得制限は設けないという。
■■■2月17日■■■
三鷹市
ウクライナ避難者に7万円追加給付
東京都三鷹市は17日、戦禍のウクライナから避難して市内で暮らす人に、物価高騰などを受けた追加の生活支援として、新年度に1人あたり7万円を給付すると発表した。関連事業費として約250万円を新年度当初予算案に盛り込んだ。
市内の都営住宅などで暮らすウクライナからの避難者は現在、21世帯32人。給付金7万円は、予算案が成立すれば4月にも支給する方針という。新たに避難してきた人がいれば、引き続き緊急生活支援給付金として1人3万円を支給する。
当初予算案ではこのほか、高校生までの医療費助成拡充について、「完全無償化」をはかるための約1200万円も計上された。
市は昨年10月から、独自に医療費助成の対象を高校生年代まで拡充。所得制限は設けなかったが、通院時の一部負担(200円)は残っていた。長引くコロナ禍を踏まえた子育て支援の一環として、今年10月の医療証更新を機に、小中学生も含めて高校生年代までの一部負担金を無くすことにしたという。
■■■2月16日■■■
国立市
私立幼稚園入園料の補助引き上げ
東京都国立市は16日、2023年度一般会計当初予算案を発表し、子育て支援策として、私立幼稚園入園料の補助を従来の2万円から3万円に引き上げるための経費245万円を計上したと発表した。
保育幼児教育推進課によると、市内には私立幼稚園が8園あり、市外の園も含め、23年度は3年保育の年少クラスに245人の入園を見込む。保護者から経済的な負担軽減を望む声もあり、17年度に2万円に引き上げた入園料補助をさらに上乗せすることを決めた。
市内では、年少クラスと同じ学年にあたる保育園の4歳児クラスに、約300人が通っているという。保育園に入園料はない。
市はまた、23年度に多摩地域の全26市長が集まり、核兵器のない平和の実現に向けた振興策を考える「平和ネットワーク会議」を開くにあたり、事務局としての運営費50万円を盛り込んだ。
国立市の一般会計当初予算案の総額は357億2300万円。前年度に比べ9・1%増え、過去最大となった。
あきる野市
移住相談ワンストップで受け付け
東京都あきる野市は16日、移住・定住を促すため、相談窓口を新年度に設置すると発表した。移住・定住促進事業として、新年度当初予算案に289万8千円を計上した。生産年齢人口の減少に歯止めをかける狙いで、ターゲットは都心の子育て世代という。子育て支援や教育、仕事など移住についての相談をワンストップで受け付ける。
魅力を知ってもらうため、市内の見学希望者を市職員が無料で案内する取り組みも始める。また移住・定住について選任の担当課長を置く。市のホームページに関連のコーナーを設け、PR用リーフレットも配る。都と連携して「ふるさと回帰フェア」に出展し、市主催の移住セミナーを開くという。
小中高校生らの医療費は、所得制限なく無償化にする。新年度予算案の発表会見で中嶋博幸市長は「お金を配ることは出来ないが、困った時には、不安なく医療が受けられると知ってほしい」などと話した。
小金井市
民設民営の学童保育所の新設へ補助
東京都小金井市は16日、利用者増に伴う学童保育の大規模化解消のため、民設民営の学童保育を新たに開くための施設整備費の補助事業を始めると発表した。2023年度の一般会計当初予算案に、関連費約2700万円を計上した。
学童保育について、同市は利用希望者の全入制をとっている。ただ、近年の小学校児童数と共働き世帯の増加に伴い、定員超過の常態化が課題となっていた。
これを解消するため、同市として初めて、民設民営の学童保育所の新設に取り組む。23年度は補助対象として2施設を募集する。いずれも40人規模を想定しているという。
■■■2月15日■■■
府中市
ヤングケアラー実態把握へアンケート調査
大人の代わりに家族の世話や家事を担う「ヤングケアラー」について、東京都府中市は15日、2023年度に実態把握の調査に取り組むと発表した。新年度当初予算案に関連費約570万円を盛り込んだ。必要な支援とつなぐために、コーディネーターの専門職1人を設置するという。
調査は市内の小中高校生約2万人と、障害福祉や介護、学校など約100カ所を対象にアンケートを実施。ヤングケアラーがどの程度いるかや、ケアに費やす時間と頻度、求める支援などを把握するという。
コーディネーターは市の子育て世代包括支援センターに配置し、相談窓口として周知していくという。高野律雄市長は「学習や友だち作りといった子どもが経験すべきことが、ケアに時間をとられてできないのは望ましくない。子どもが相談に動けるように支援したい」と話した。
青梅市
移住者支援・移住PRに8200万円
東京都青梅市は2023年度、市内への移住・定住促進を図る取り組みを本格化させる。15日、子育て世代向けの居住体験事業に800万円、移住者への支援やPR事業に計8200万円余などを盛り込んだ新年度当初予算案を発表した。
新たに始める居住体験事業は、保育園に通う子どもがいる世帯が対象。希望者を募って古民家などに2週間ほど滞在してもらい、子は地元の保育園が受け入れる。市内での暮らしを体験した家族が移住に関心を持ったり、市の情報を広めてくれたりすることが狙い。
移住希望者や移住者に対しては、昨年策定した「移住・定住促進プラン」に基づき支援していく。市内で新生活を始める新婚世帯の支援(1世帯最大30万円)に3千万円、移住支援や三世代同居・近居支援、移住就業支援、特急料金補助に計1千万円余、PR動画作成の委託料などに3千万円余を計上した。
独自の新規事業としてはこのほか、昨年宣言した「ゼロカーボンシティ」の実現に向け、省エネルギー住宅改修の補助金(1世帯10万円まで)導入に500万円など。
記者会見した浜中啓一市長は「山あり川あり、自然環境が素晴らしく、かつ首都圏に近く、通勤も苦にならない。遊びの中で働ける青梅のよさをアピールし、『遊ぼうよ、青梅』と呼びかけていきたい」と語った。
また、11月に行われる市長選について「出る予定では進めている」と、3期目を目指す意向を示唆した。
市の新年度の一般会計予算案の総額は、今年度当初比1・9%増の544億円で、過去最大となった。
■■■2月14日■■■
東大和市
中学で英会話個人レッスン フィリピン在住講師が年18回
東京都東大和市は2023年度から、市内の中学校の授業に、オンラインの英会話の個人レッスンを導入する。新年度予算案を14日発表し、事業費計2734万6千円を盛り込んだ。市によると、本格導入は都内の26市で初めて。
市によると、対象は市内全5校の1~3年生で計約2100人。レッスンは1回40分、年間18回で、講師はフィリピン在住。授業内のほか、長期休暇中や放課後の自習などで活用する。各生徒が持つタブレット端末を使う。小学校での導入も今後検討するという。
市の来年度一般会計予算案の総額は、340億円で過去最大となった。
町田市
公園内にスケートパーク、27年度オープン目標
東京都町田市は14日、施設のバリアフリー化を進めた体育館「パラアリーナ」を市内に建設すると発表した。また、スケートボードやBMXに対応したスケートパークを来年度から造る。関連事業費を2023年度予算案に計上した。
市によると、パラアリーナは旧忠生第六小学校跡地に建設する。供用開始予定は26年度で、同予算案に整備方針の検討委託料2200万円を盛り込んだ。障害者スポーツの普及を目標に、車椅子で床面に傷が付きにくい仕様にすることなどを検討する。
スケートパークは野津田公園内に建設し、27年度の供用開始が目標。23年度に基本設計を始め、委託料約1500万円を計上した。
■■■2月13日■■■
新宿区
小1と中1への入学祝い金、総額3億2千万円
東京都新宿区は13日、2024年度に小中学校に入学する区内在住の全ての新入生に対し、入学祝い金を支給すると発表した。小学1年生は1人5万円、中学1年生には10万円。23年度に入学する小中の新入生についても同様の支給をする予定で、政策を継続する。
区によると、対象人数として見込むのは小1は2400人、中1は2千人。支給は24年2月下旬以降を予定する。区によると、事務経費などを除く支給の総額は3億2千万円。これを含む、総額1694億6056万9千円の23年度一般会計当初予算案を13日、公表した。
子育て世帯への所得制限のない支援策は、昨年11月の区長選で3選された吉住健一区長が公約に掲げていた。吉住区長は13日の発表会見で、「ランドセルや制服などで費用がかさむ。今後も続けていきたい」と述べた。
区によると、一般会計の当初予算案の規模としては過去最大。区立四谷小学校(四谷2丁目)の校舎増築費用などが増大したという。16日開会の区議会に提出する。
■■■2月10日■■■
台東区
閉校から30年あまり…「東京の廃墟」の解体着手
東京都台東区は10日、関東大震災後に「復興小学校」として再建された旧下谷小学校(同区東上野4丁目)について、8月中に解体工事に着手する方針を明らかにした。7月には、卒業生や地域住民らに旧校舎を見てもらう「お別れ会」を開くという。1990年に閉校して以降、活用の方向性が定まらず、ネット上などで「東京の廃虚」と話題になっていた。
2023年度予算案に、同小跡地を活用して公共施設を再編するなど「東上野4・5丁目地区まちづくり推進事業」として、解体工事費を含む約3億1500万円を盛り込んだ。地区計画区域にある上野警察署を取り壊し、同小跡地に移転させるなどの土地区画整理事業を32年末までに終える予定だ。
一般会計予算案の総額は1117億円。4月に区長選を控え、新規事業や政策的な経費を抑えた「骨格予算」を組んだ。
■■■2月9日■■■
世田谷区
小中学校で給食無償化、4月からまず1年
東京都世田谷区は、4月から1年間、区立の小中学校の給食費を無償化する。エネルギー価格や物価高騰への緊急対応策として、9日に発表した新年度予算案に事業費26億5900万円を計上した。財政調整基金を取り崩すなどして対応するという。
一時的な措置としたことについて保坂展人区長は、「今回は財政上の見通しをつけていく作業を堅実に行った。恒久財源はこれから組み立て、できるだけ混乱がないようにしたい」と説明した。
対象となるのは、区内にある61小学校の児童約3万8600人と、29中学校の生徒約1万2千人。24年度以降の対応は、今後の物価の状況などを踏まえて検討するという。
「子ども全力応援予算」と銘打った予算案ではこのほかに、1歳を迎えた子どもがいる保護者に子どもの数に応じた電子マネーを贈る「バースデーサポート事業」を始める。これまで第3子以降に1人当たり5万円を支給していた出産助成金については、第1子から支給する。
また、インターネット上の仮想空間「メタバース」を活用し、不登校の児童や生徒の居場所づくりや学習支援をする事業も始める。さらに、「ギフテッド」と呼ばれる、特異な才能を持つ一方で周囲となじめず困難を抱える子どもが、適性に合わせた教育を受けられる区立学校の設立に向けた調査も開始する。
一般会計の総額は3619億8700万円で、過去最大規模となった。
北区
学校給食の完全無償化 期間は「当分の間」
東京都北区は9日、4月から区立の小学校、中学校に通うすべての児童生徒の給食費全額を補助すると発表した。2023年度の予算案に、学校給食費完全無償化の関連事業費11億2千万円を計上した。
区立小学校に通う約1万4千人の児童、区立中学校の約4800人の生徒が対象。期間は「当分の間」としている。小学生の1人あたりの年間給食費約5万4千~5万9千円、中学生は約6万7千円を補助する。
新年度予算案は、JR赤羽、十条両駅周辺の再開発で計101億6千万円の関連事業費を計上するなど、一般会計の総額は1978億円で、過去最大となった。
■■■2月8日■■■
立川市
医療的ケア児の保育園通園を支援
東京都立川市は8日、胃ろうや人工呼吸器などを日常的に必要とする「医療的ケア児」が、希望する保育所に通えるための仕組みづくりとして、新年度一般会計当初予算案に583万円を計上したと発表した。
市保育課によると、市内での医療的ケア児の保育所受け入れは2004年度から今年度までに13人。だが、主に公立保育所で、態勢を整えにくい私立では難しかった。
そんな中、21年に医療的ケア児の通所通学などを支援する法律が成立。市は新年度から多くの保育所に入れるよう、専門家による委員会を設けて入所条件や施設状況などを検討するとともに、看護師らの配置への補助、保育士の研修などに取り組むことにした。
地方交付税を受けない不交付団体である市の新年度一般会計当初予算案の総額は853億9千万円。前年度より1・6%、13億9千万円増え、過去最高となった。歳入はコロナ禍で落ち込んだ経済活動の回復基調に伴い、法人市民税が前年度比16・1%増、5億円以上伸びたのが目立った。
小平市
SNSで若い女性向けの相談窓口
東京都小平市は8日、6月からSNSによる女性向け相談窓口を週1回、試行することを明らかにした。小林洋子市長がこの日、発表した新年度の一般会計当初予算案に開設費用など約164万円を盛り込んだ。
市には電話や対面による女性相談室があるが、20~30代の女性を念頭に、気軽に相談しやすいオンライン形式を試す。相談内容はあらゆる悩みや訴えなどに対処するという。期間は、男女共同参画週間がある6月から9月まで。
また、地域センターなど24施設の照明を電力消費の少ないLEDに変える。省エネで電気代が実際に削減できた分に応じて、民間業者にLED設置やサービス費用などを支払う「ESCO(エスコ)」事業を導入するため、新年度中は市の支出は発生しない。
一般会計予算案の総額は前年度比0・7%増の779億9千万円で過去最大となった。
大田区
蒲蒲線構想、駅前整備などに16.9億円
保険の適用対象外となる先進医療を用いた不妊治療について、東京都大田区は、1回あたり最大5万円を都の助成に上乗せする、独自の支援制度を始めると発表した。高額な治療費の負担を減らし、少子化対策を強化するのが目的。少子化対策としてはこれを含め、新年度当初予算案に約10億9800万円を計上した。
また妊娠期や出生届の提出時、子どもが1歳になったころに、ギフト券などをそれぞれプレゼントするほか、2歳未満の子がいる転入してきた家庭を対象に、保健師や助産師などに子育ての悩みなどを直接相談できる機会を新たに設ける。これまでの健診事業などと合わせ、子どもが2歳になるころまで、切れ目のない相談支援体制をつくる、としている。松原忠義区長は「少子化の急速な進行に加え、大田区は子育て世帯が大きく流出超過している。子育てに予算を重点配分し、安心して産み育てることができる大田区にする」と話した。
区内にある東急蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ鉄道新線「蒲蒲線」構想に関しては、約16億9900万円を計上。昨年設立し、今後の整備主体となる第三セクターへの増資や、駅前整備などに充てるという。蒲蒲線の早期実現をめざすとともに、沿線のまちづくりも進めるとしている。
一般会計の総額は前年度比4・6%増の3147億6863万円。
■■■2月7日■■■
中央区
給食無償化で子ども1人あたり5万円の負担軽減
東京都中央区は7日、保険適用外の先進医療にかかる不妊治療費の一部を4月から助成することを発表した。年度内で1人あたり最大10万円を助成する。新年度予算案に関連事業費4330万円を計上した。
区内では湾岸部のマンションを中心に子育て世代が増え、今年1月、定住人口が過去最多の17万4074人となった。出生率(20年度)も1・43と23区内で最も高い。「出産応援、子育て応援ギフト」としてウェブサイトのカタログで利用可能な5万円分(計10万円分)のギフトカードなどを支給するため、約5億3千万円も計上した。
さらに学校給食費、保育所などの副食費を無償化する方針も発表した。区立小学校16校、中学校4校、区立宇佐美学園に通う児童と生徒、区内の認可保育所、認定こども園、認証保育所に通う未就学児に対し、1人あたり年間約5万円の給食費を負担。関連予算で5億2千万円を計上した。
23年度一般会計予算案は前年比18・9%増の約1484億円で過去最大規模となった。
■■■2月6日■■■
渋谷区
スタートアップ支援の新会社を官民で設立
新しいアイデアでビジネスを始めるスタートアップ企業について、世界レベルの企業に積極的に育てていこうと、東京都渋谷区はこうした企業を支援する株式会社「シブヤスタートアップス」を、民間企業と連携して今月末に設立する。区が6日に発表した2023年度当初予算案に、関連経費として計3億2千万円を計上した。
区によると、スタートアップ企業は区内に1600~1700社ある。区はこれまでシェアオフィスの提供や、外国人の起業家に在留を認める「スタートアップビザ」の取得支援などをしてきた。新会社について、長谷部健区長は「海外の先進都市を参考にして、育成のプログラムをしっかりと提供していきたい」と説明。詳しくは今後、会社設立の記者会見を開いて、説明するとしている。
このほか、福祉全体の困りごとを一括して受ける「福祉なんでも相談窓口」の開設▽区立中学の部活動の地域移行を推進するため、モデル校を2校設置▽「青色防犯パトロールカー」(ハチパト)を計5台配備し、区内を24時間365日運行する、などの新規事業を予定している。一般会計の総額は1126億円で、過去最大となった。
荒川区
幼稚園にも無償で給食 小中学校も
荒川区は6日、全区立幼稚園8園に通う園児に、新年度から給食を無償提供すると発表した。委託先の事業者から弁当形式で配達してもらう方法を予定している。現在は家庭から弁当を持参してもらっており、保護者の経済的な負担を減らすとともに、家事負担の軽減も図る狙いがあるという。
区によると、区立8園に通うのは約300人。対象に所得制限などは設けないという。2023年度当初予算案に約2500万円を計上した。ほかに区立小中学校全34校の給食無償化も所得制限なく実施する。こちらについては、約7億5千万円を計上した。
西川太一郎区長は「コロナ禍の難局を乗り越え、区民が健康で幸せに過ごせるように行政サービスを届けたい」と語った。
多摩市
使用済みの紙おむつ、保育園に処理費用を補助
東京都多摩市は6日、これまで市内の半数以上の保育園で保護者が持ち帰っていた使用済みの紙おむつについて、園で処理するための補助事業に取り組むと発表した。新年度予算案に関連事業費約600万円を計上した。
市によると、同様の取り組みは多摩26市では立川、武蔵野、昭島、小平の4市に続いて5番目となる。
市内では、子どもの健康状態を把握してもらうという趣旨で、使用済みおむつを持ち帰ってもらっていた。ただ、保護者からは「不衛生だ」「買い物にも行きづらい」という声が上がっていたという。園側にも保管場所を確保したり、使用済みおむつを仕分けしたりする手間があったという。
補助の対象は認可園や認証園など42施設。既に処理を導入していた園に対しても、補助をするという。
■■■2月3日■■■
江戸川区
カーボン・マイナスを宣言
東京都江戸川区は3日、温室効果ガスについて排出量より吸収量が多い状態を目指し、「カーボン・マイナス都市宣言」を発表した。排出が実質的にゼロとなるカーボン・ニュートラルを更に進めるという目標。太陽光発電設備設置や電気自動車の購入補助など総額約47億円を、2023年度予算案に盛り込んだ。
国の基準では現在、温室効果ガスの排出量を計算する際、植樹した樹木による二酸化炭素の吸収量は入っていないが、区は将来的に含まれると見込み、マイナス目標を掲げた。区は約50年前から「区民1人10本の植樹」に取り組んでおり、昨年達成している。
区民の7割にあたる約50万人が海抜ゼロメートル地帯に暮らしており、斎藤猛区長は「荒川と江戸川に囲まれた江戸川区にとって、気候変動への取り組みは避けて通れない」と話した。
新年度予算ではこのほか、区民が身近に法律相談できるよう国出資の「法テラス」の指定相談窓口の開設費約153万円も盛り込んだ。都内で初という。
■■■2月2日■■■
中野区
実質ひとり親支援で現金給付
中野区は2日、子育て支援や福祉の充実策などを盛り込んだ2023年の一般会計当初予算案を発表した。来年完成予定の区役所の新庁舎整備費などが募った関係で、予算規模は1956億3千万円で過去最高となった。
新規事業としては、離婚調停中の「実質ひとり親家庭」に児童1人あたり10万円を支給するなど、ひとり親家庭支援に1336万円、医療費の全額負担を15歳から18歳までに拡充するのに9886万円などを計上した。
目黒区
18歳以下の1万円給付、新生児祝い金も
目黒区は2日、子育て支援策やコロナ禍やウクライナ情勢による物価高対策などを盛り込んだ、2023年度の一般会計当初予算案を発表した。18歳以下の子ども3万9千人に、1万円を現金給付するなど計10億円程度を計上した。
「子育て応援給付金」と題し、所得制限は設けない。今夏の給付をめざすという。青木英二区長は「子育ては、極めて重要な課題。所得にかかわらず、しっかりと支援していきたい」と語った。
このほか、子育て支援策として、国の出産育児一時金に加え、区独自に新生児1人につき2万円の祝い金を創設。子どもの医療費については、高校生世代の自己負担を所得にかかわらず助成し無償化する。一般会計の総額は1197億円で、2年連続で過去最大となった。
品川区
小中学校の給食、無償に
品川区は2日、新年度から全区立学校46校の給食費を無償化すると発表した。0~2歳の第2子の保育料と高校生世代の医療費も無償化し、「子育て三つの無償化」と銘打って、新年度当初予算案に計約21億円を計上した。
給食費無償化の対象は区立の全小中学校と小中一貫校。0~2歳の第2子の保育料の無償化は、都が10月に始める方針を示しているが、区は独自で4月に始める。高校生世代の医療費無償化は、都が設けている所得制限を無くし、自己負担分も区が持つことで実現する。
また0歳児を育てる世帯を対象に、おむつなどの育児用品を毎月届けるのに合わせ、助産師や保健師が育児相談に応じる事業を始める。これら子育てに関する新規事業に計約32億7千万円を計上。森沢恭子区長は「子育て、教育で選ばれる品川区にする」と述べた。
一方、昨年12月の区長選で公約に掲げた羽田空港新飛行ルートをめぐる区民アンケートについては、15歳以上の区民を対象に、ほかの区政課題を含めた10問程度のアンケートを実施する方針。森沢区長は「羽田について何問か入れる」としたうえで、「しっかりとした設問を用意し、区民の意向を分析していきたい」と話した。
一般会計予算案の総額は前年度比5・1%増の1987億9400万円で、過去最大規模。
江東区
子どもに所得制限なしで3万円クーポン
東京都江東区は2日、区内に住む18歳以下の子を対象に、1人あたり3万円分の電子クーポンを配布する子育て支援策を発表した。所得制限は設けない。区独自の取り組みとして、新年度当初予算案に必要経費の31億1654万円を計上した。
区によると、区内に住民票を置く18歳以下は約8万2500人。区側が各世帯にQRコード付きの書類を郵送、それをもとに電子クーポンなどを受け取ると、子育てに必要な物品の購入などに使える。7月以降の配布を目指すという。
担当課は「子育て世帯には子どもの年齢に応じて特有の負担が生じている。子育て世帯を等しく支援することで子育てしやすい環境を作りたい」と説明。2日の発表会見で、山崎孝明区長は「スピード感を第一に申請手続きを不要にした。家計負担の更なる軽減を図りたい」と話した。
■■■1月31日■■■
足立区
中学校の給食費、完全無償化へ
足立区の近藤弥生区長は1月31日、2023年度から区立中学校の給食費を完全無償化する方針を明らかにした。区は年間約5億3千万円が必要と試算し、23年度当初予算案に関連経費を計上する。
区によると、区立小学校に約3万300人、区立中学校に約1万3800人の児童生徒が在籍。近藤区長は、中学校では制服や部活動など様々な経費がかかるとして、「まずは中学生を育てる家庭を支援する」と説明。小学校については「無償化を目指す」としたが、年間約10億円かかるとして、「財政負担が大きく制度設計が必要。できるだけ早い時期の実施に向け、検討したい」と話した。
高校生については、学校外活動を支援する「高校生応援支援金」を、1人あたり年間5万円を支給する。低所得層の家庭の高校生を区独自で支援するもので、区によると都内の自治体でも例がないとみられる。
支援金は部活動や課外活動、資格取得などに使ってもらう。対象は都立高、私立高に通う300人程度を想定。7月に募集し、9月にも支給する考えだ。2023年度当初予算案に約2千万円を計上した。
国の「高校生等奨学給付金」は低所得ではあるが課税される世帯は対象外となるため、年収が約300万円以下の世帯の高校生を独自に支援することにした。
近藤区長は「小中学校から高校、大学へと切れ目のない支援を拡大していく。高校生には好きな学校外活動を思い切りしてほしい」と話した。
一般会計の総額は3159億円で9年連続で過去最大を更新した。
千代田区
帰宅困難者の誘導にDX活用
千代田区は1月31日、子育て世代の支援や、地震発生時の帰宅困難者の誘導などに、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した施策を新たに始めると発表した。2023年度当初予算案に関連経費を盛り込んだ。
子育て支援では、DXを活用した区独自のポータルサイトを8月にも開設し、妊娠から幼稚園の入園まで様々な手続きをオンライン上でできるようにする。サイトに登録すると、各種届け出や予防接種、支援サービスなど、子どもの成長に合わせた情報が区から発信され、いつでもオンラインで申請できるという。
区によると、14歳以下の子どもは約9千人(20年)と、この20年間で2倍以上に増えており、子育て支援にさらに力を入れていく考えだ。子育て関連費として、予算全体の約3割に当たる約245億円を計上した。
また、災害対策にもDXを活用する。首都直下型地震時に、区内では約59万人が帰宅困難者になることが想定されていることから、一時受け入れ施設の地図や開設状況といった情報を提供するシステム「災害ダッシュボード」を開発し、23年度中にも運用を始める。
システムは、とくに多くの帰宅困難者が見込まれる大手町・丸の内・有楽町地区にある約100カ所のデジタルサイネージ(電子看板)に情報を表示する仕組み。区のウェブ画面でも情報提供し、発災時の誘導にいかす。関連費用として約130万円を計上した。
樋口高顕区長は「DXを取り入れ、子育て、防災などの事業を拡充させていく」と説明。一般会計の総額は750億4300万円と、過去最大となった。
杉並区
区民から使い道募る参加型予算
東京都杉並区の岸本聡子区長は31日、基金の使い道を区民から募る「参加型予算」のモデル事業などを盛り込んだ2023年度一般会計予算案を発表した。参加型予算は都内の市区町村で初めてという。
モデル事業では、国から区に分配される森林保全目的の基金の使い道を、インターネットなどで区民から募る。実現可能な案を選び、24年度予算案に盛り込むことを目指す。アイデアの募集や広報の費用として70万円を計上した。区民と区長の意見交換会や、気候変動に関する区民同士の議論を区政に生かす取り組みなどにも計1500万円を計上した。
区立学校の給食費については、増額分を区が負担し、食材費の高騰分は学校に支給するとした。
区民との対話と給食費無償化は、昨年6月に初当選した岸本区長の選挙公約だった。岸本区長は31日、給食費について「無償化を進めることに変わりはなく、前向きに検討している。財源だけが壁。議論を進めたい」と話した。
■■■1月30日■■■
港区
出産費用、実質ゼロに
港区は1月30日、出産費用を実質ゼロにすることをめざす助成金アップなどを盛り込んだ2023年度一般会計予算案を発表した。2人以上の未就学児を持つ家庭が積極的に外出できるよう、1世帯あたり年間2万4千円分のタクシー券を配る事業も始める。
出産費用を巡り、政府は4月から、出産時にもらえる出産育児一時金を現在の42万円から50万円に引き上げる方針。区はこれまで、実際にかかった出産費用について73万円を上限に、国の一時金との差額を独自助成してきた。一方、昨年の調査で区内での出産費用は平均約81万円と判明。そこで助成の上限額を81万円に引き上げ、自己負担ゼロをめざすことにした。
助成制度には約5億5千万円を計上。記者会見で武井雅昭区長は「出産や育児に関する不安と負担となくしていきたい」と述べた。
教育分野では、全10校の区立中学校で行われている計107の部活動すべてに部活指導員を配置。また、全19校の区立小学校5、6年生で教科担任制を実施するため、外国語や体育、理科、社会などを担当する講師を各校1人ずつ配置する。区は、全ての部活動と全ての小学校で導入する点で都内初だとしている。
一般会計の総額は過去2番目の規模となる1632億7千万円。
文京区
16~18歳に月5千円給付
文京区は30日、区内に住む16~18歳を対象に月5千円を給付する子育て支援策を発表した。また今後、児童手当の所得制限が撤廃されない場合、対象外になっている高所得世帯にも、中学生以下の子ども1人につき月5千円を支援するとしている。
区によると、区内の16~18歳は5千人。大学受験など教育や活動の幅が広がるにもかかわらず、国の児童手当では対象外となっている高校生世代への支援拡充を図る。0歳~中学生世代についても、所得制限で手当支給の対象外となる区内の1万1千人に、区独自の支援策を設けた。
成沢広修区長は「この支援策で、18歳までの子どもがいる家庭に対して所得制限なく支援が行き渡るようになる」と話した。
いずれも2023年度の補正予算での計上を予定しており、計10億円程度を見込む。都による所得制限なしでの0~18歳への月5千円給付策を受けて、区でも支援策を検討した。ただ、国の動向や都による給付の手続きが定まっていないとして、当初予算案には盛り込まなかった。
■■■1月24日■■■
練馬区
ハリーポッター開業にあわせイベント
東京都練馬区は1月24日、2023年の一般会計当初予算案を発表した。予算規模は2987億円で過去最高となった。
歳出のうち福祉保健費が872億4千万円で一番多く、子ども家庭費750億8千万円、教育費324億7千万円と続いた。このうち新規事業としては、ひとり親家庭向けのオンライン相談体制の開始や、保育園の入園申請のオンライン化などを盛り込んだ。
また、今年ならではの事業として、今春のNHKの連続テレビ小説のモデル・牧野富太郎氏の邸宅跡地の庭園の整備▽今夏としまえんの跡地に映画「ハリー・ポッター」の世界観を反映したテーマパークが開業することにあわせたイベントの実施、なども予定している。
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