高市氏が「質問しないで」発言を撤回 参院予算委員長が異例の注意

放送法めぐる総務省文書問題

岡本智
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 高市早苗経済安全保障担当相は20日午後の参院予算委員会で、放送法の行政文書をめぐる質疑で野党議員に「信用できないならもう質問しないで」などとした発言を撤回した。この日午前の同委員会で、末松信介予算委員長(自民)から「表現はまったく適切ではない。敬愛の精神を忘れている」と異例の注意を受けていた。

 高市氏は午後の予算委の冒頭で「国会の審議に迷惑をかけることは私の本意ではない。敬愛の精神が必要という末松委員長の注意を重く受け止め、『答弁が信用できないんだったら、もう質問なさらないでください』という答弁のみ撤回をさせていただく」と述べた。謝罪はしなかった。

 高市氏は15日の参院予算委で、立憲民主党の杉尾秀哉氏から行政文書を捏造(ねつぞう)とする根拠を説明するよう求められ、「信用できないんだったら、もう質問なさらないでください」などと発言。野党は高市氏に謝罪と撤回を求めていた。

 20日午前の予算委では自民議員からも「遺憾」と批判があがり、末松委員長から「国会議員が質問する権利を揶揄(やゆ)したり否定したりするのは、本当に大きな間違いだ」「敬愛の精神を忘れている言葉だと思う。この部分だけはぜひ省いていただきたい。これは私の思いだ」などと、重ねて注意を受けた。高市氏はこの時は撤回に応じなかった。(岡本智)

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    岩尾真宏
    (朝日新聞名古屋報道センター長代理)
    2023年3月20日15時46分 投稿
    【視点】

    午前の参院予算委員会での記事でもコメントしましたが、国民の理解を得るためにも、高市氏は本来「信用できないなら、さらに質問して分かって欲しい」とむしろ求める立場であり、「質問しないで」発言の撤回は当然のことだと思います。 「過ちては改むるに

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  • commentatorHeader
    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2023年3月20日18時5分 投稿
    【視点】

    そもそも閣僚は、国会に対して説明する責任を負っています。日本国憲法の第63条には、「答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない」とあります。 「答弁しなければならない」「質問されることを拒んではいけない」とは書い

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