人工妊娠中絶のための飲み薬(経口中絶薬)が4月28日、国内で初めて承認されました。どんな薬なのか、使用上の注意点や処方の課題はあるのか、解説します。

使えるのは妊娠9週まで

 Q どんな薬なの?

 A 製品名は「メフィーゴパック」です。2種類の飲み薬を組み合わせて使います。英国の製薬会社ラインファーマが2021年12月に厚労省に承認申請をしていました。

 Q 誰が使えるの?

 A 対象は妊娠9週0日までの妊婦に限られています。企業が臨床試験(治験)で有効性や安全性を確認したのもこの妊娠期間の人のみなので、それ以降は使えません。

 Q どうやって使うの?

 A まず、妊娠を続けるために必要な黄体ホルモンのはたらきを抑える薬「ミフェプリストン」を1錠飲みます。36~48時間後に、子宮を収縮させるはたらきがある薬「ミソプロストール」4錠を、左右の奥歯とほおの内側に2錠ずつ含み、30分かけて溶かして粘膜から吸収させます。30分後でも口の中に薬が残っていれば、飲みこみます。

 Q 効果はどんなもの?

 A 国内の治験には、妊娠9週までの18~45歳の中絶を希望する女性120人が参加しました。薬を投与してから24時間以内に人工妊娠中絶に至った割合は93・3%でした。

 Q 副作用はあるの?

 A 治験では、45人(37・5%)が薬と因果関係がある副作用が起きたと報告されました。主に下腹部痛(30・0%)、嘔吐(おうと、20・8%)でした。ただし、いずれも回復していて、9割以上が軽度か中等度だったとされています。

海外と異なる日本の中絶

 Q 海外でも使われているの?

 A 飲む中絶薬は、1988年に世界で初めて承認され、現在は80以上の国・地域で使用されています。

 Q 日本では?

 A 日本では飲む中絶薬は承認…

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