下り坂は15歳から始まった 称賛遠のく天才の南アで変わった人生観

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鈴木健輔
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 84年ぶりにアフリカ大陸で開催された、卓球の世界選手権南アフリカ大会。佳境を迎えていた先月26日、日本のトップ選手が次々と涙を浮かべた。

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 女子シングルスで中国選手に勝った早田ひなが感極まった。けがで力を出し切れなかった伊藤美誠は悔しくて、目を赤くした。

 男子シングルスの張本智和の涙は、2人のそれとは違って見えた。

 準々決勝で中国の梁靖崑に2―4で負けた後。

 「長かった……」

 6月に20歳になる張本は、自身の10代を回顧し、声を震わせた。

 中国出身で元卓球選手の父母のもと、張本は仙台市で生まれた。2歳でラケットを握り、幼い頃から年代別のタイトルを総なめにしてきた。

 父の宇、妹の美和とともに日本国籍を取得し、13歳で世界選手権デュッセルドルフ大会に出場。日本のエース、水谷隼たちを破っての8強入りは世界最年少記録だった。

 14歳で全日本選手権を、15歳でワールドツアー・グランドファイナルを最年少で制し、世界ランキング3位まで駆け上がった。

 本人の感覚では、このあたりから下り坂に入る。

 「楽しい時期は一瞬で、15…

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