超リアル絵画の上田薫さん94歳 認知症になり作風変わるも輝く表現

有料記事

編集委員・大西若人
[PR]

 流れ出る生卵などを写真と見まがうリアルさで描き、作品が美術の教科書にも掲載された画家・上田薫さんは、いま94歳。2年ほど前から認知症になり、神奈川県の自宅で療養しながら描き続けている。かつての精巧な描写から一変した素朴な味わいの作品が、個展などで話題となっている。

 光と潤いに満ちたスプーン上のゼリーなど従来の表現に続き、色と形が交じった木立やラフな鉛筆の自画像、かわいい昆虫や魚の絵が並ぶ。

 高松市美術館で9月18日まで開催中の個展には、スーパーリアリズムと呼ばれる作品群とともに、2021年以降の療養中にスケッチブックなどに描いた素朴な小品が30点以上出ている。

 同館が所蔵するリアルな大作2点は人気が高く、今回の個展につながった。一方で全く異なる近作も。石田智子・学芸員によれば、鑑賞者からは「かわいい! 面白い!」「軽快な絵」といった感想があるという。

 東京芸術大で油絵を学んだ上…

この記事は有料記事です。残り602文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【秋トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    小松理虔
    (地域活動家)
    2023年8月31日16時26分 投稿
    【視点】

    この記事の下にある「関連記事」に、4年前に、今回と同じ大西さんが取材した上田薫さんの記事があります。4年前は、上田さんの明晰な言葉が記されており、この4年の時の流れを感じずにいられません。 高齢の方の取材をしていると、やはり「最期」の

    …続きを読む