「痛いー!」30歳で関節リウマチ 悶絶する痛みこえ、母になりたい

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鈴木彩子
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 「なんか左の手首が痛いな」

 東京都介護職員・橋爪由紀さん(35)が手首に違和感を覚えたのは、27歳のころだ。

 近所の整形外科クリニックを受診したが、病名はつかず、様子をみることになった。

 痛みには波があり、痛い日もあれば、大丈夫な日も。「なんだろう」と思いつつ、仕事も忙しく、通院の足は遠のいた。

 でも、痛みの強さはじわりじわりと増していた。フライパンや鍋を持つのがつらく、食器を洗うのがしんどい。

 学生時代からつきあっていた武尊(たける)さん(35)からは「病院、行ったら?」と言われていたけれど、「腱鞘(けんしょう)炎かな」と思うようにして過ごしていた。

 実は、由紀さんには気がかりなことがあった。母親も、関節が痛む病気を患っていた。「関節リウマチ」という病気だった。

 痛みのために、仕事をやめた母。

 「自分もいつか、そうなるのかな……」

 漠然とした不安を考えないように過ごしていたが、2018年の夏、別の病院の血液検査で疑いを指摘され、再び整形外科クリニックを受診した。検査の結果、診断は母と同じ「関節リウマチ」。両手首に腫れや痛みがあり、両ひざも腫れていた。

 「ああ、やっぱりそうか」

 すぐに、抗リウマチ薬のメトトレキサートによる治療が始まった。

 関節リウマチは、免疫の異常で骨と骨の間にある滑膜という組織に炎症が起こる病気だ。進行すると、骨や軟骨が破壊され、関節が変形してしまう。抗リウマチ薬は、免疫の暴走を抑え、炎症を鎮めて関節の破壊を防ぐ薬だ。痛みを抑えるステロイドの薬も飲み始めた。

 ただ、薬の説明の中で医師が言ったことが気になった。「奇形児が生まれる可能性がある」ので、メトトレキサートを飲みながら妊娠はできない――。

 ちょうど、30歳になった由紀さんには夢があった。それは、子どもを産んで母になること。周囲の友人たちも、結婚したり出産したりしていた。

 子どもを持てるんだろうか。

 目の前の痛みと向き合いながら、不安が膨らんだ。

「子どもが欲しい」すぐに休薬、ぶり返した激痛

 薬を飲み始め、症状がやわらぎはじめたある日、武尊さんにおもむろに切り出した。

 「結婚しないなら、別れよう…

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この記事を書いた人
鈴木彩子
くらし報道部
専門・関心分野
医療・健康、脳とこころ、アレルギー