広告離れて「特別な関係」は変わるのか? ジャニーズ事務所とテレビ

有料記事多事奏論

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記者コラム 「多事奏論」 編集委員・後藤洋平

 「テレビ局のジャニーズに対する忖度(そんたく)は続いている。ウチの、あの騒動の時とは大違いや……」。そんなボヤキ交じりの怒りを、ジャニーズ事務所と同じく芸能界の一大勢力で、多くのテレビ番組を支える吉本興業の複数の関係者から耳にした。

 「あの騒動」とは2019年、吉本所属のタレントが反社会的勢力の会合に事務所を通さず出席し、報酬を受け取っていた問題だ。関与したタレントに契約解除などの処分が下る一方、吉本の対応や管理、契約形態の問題点も指摘された。

 その渦中で一部の民放は、闇営業とは無関係だった所属タレントに路上で直撃取材。騒動についてのコメントを求め、その映像を流した。だが、冒頭の吉本関係者らによると今回、テレビがジャニーズの所属タレントにそうした取材をしたケースはないというのだ。民放を中心としたテレビ番組では現在も起用方針が大きく変わっていない。

 二つの問題は性格が異なる。吉本の元幹部もそれでも、「所属タレントに罪はない」と多くの局がタレント取材を控えていることに「なおさら、あの時の直撃は理が通らない」と疑問を投げかける。「性被害の有無を聞くなど言語道断だが、事務所側の対応や感想についても、タレントにマイクを向けていない」

 別の幹部は「当時、直撃した局に対して『問題の闇営業と同じく、事務所を通さない出演依頼だ』と抗議して出演料の請求書を送った」と振り返った。取材には必ずしもギャラが発生しないことは知っての上で、「さすがに入金はなかったけど」とオチをつけた。「お笑いの総合商社」たる吉本のOBや古い社員たちには、深刻な時にも「笑い」を織り交ぜるDNAが流れていると感じる。

 扱いの違いを旧知の民放幹部…

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