ついに政府が、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に最終手段を行使する。宗教法人としての解散をめざす国の立証戦略とは。裁判所の判断の行方は――。

 「姓名判断しませんか」。1通のはがきがポストに届き、手にした女性は興味をもった。どの家庭にもある、夫と少しうまくいかない時期だった。

 旧統一教会が、2009年3月に「コンプライアンス宣言」を出してから、1年も経っていない頃の出来事だ。

 姓名鑑定で不安をあおり高額な印鑑を購入させたとして、教団施設が家宅捜索を受けるなどした事件を踏まえ、教団は宣言で法令順守の姿勢を打ち出していた。

 女性は、はがきの連絡先に電話をかけた。ある日、案内された場所に行くと、担当者は親身に話を聞いてくれた。印鑑の購入は断ったが、30万円以上の数珠を買った。

 後日、担当者から誘われた。「先祖の流れに興味はない?」。ビデオを見ながら家系図の勉強をする場所に通うようになる。旧統一教会の施設とは知らされないまま。

 そこで、献金をこんな風に勧められたという。先祖が悪いことをしていると、あなたの子どもにも影響する。○○家を代表して、あなたが先祖を供養しないと……。

預金の取り崩しと保険解約をして献金

 09年の宣言は、献金と先祖の因縁を殊更に結びつけた献金奨励をしないとしていた。一方、女性が献金を勧められたのは、その宣言以降。通う先が旧統一教会と知ったのは、2010年代に入ってからだった。

家族の幸せを願い、女性は多額の献金をしました。文化庁は09年以降にこのように献金をした人から証言を集めてました。その理由は……。

 夫と子の幸せを守れるなら。先…

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