不動の阪神、「一番大事なところで出た」 3連勝で9年ぶり日本Sへ

阪神タイガース日本シリーズ

大坂尚子
[PR]

(20日、プロ野球クライマックスシリーズ最終ステージ第3戦、阪神タイガース4―2広島東洋カープ)

 「不動」の阪神が3連勝で9年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。短期決戦でも、一年かけて築き上げた自分たちの野球を貫いた。

 レギュラーシーズンの阪神は12球団最多の494四球を選んだ。もちろん広島は対策を講じ、第2戦までは早めにストライクで勝負してきた。それを読んだ阪神は早打ちで対応した。

 迎えた第3戦。岡田彰布監督は、追い詰められて慎重になる広島が「簡単にストライクを取れない」と予想した。前夜までとは一転し、阪神打線はじっくり球を見極めて得点機を探った。

 六回、2死から5番・佐藤輝明が中前安打で出塁し、ノイジーが四球を選ぶと、坂本誠志郎は右前へ落とす適時打で勝ち越した。「今年一年、得点したスタイルが最後の最後ね、一番大事なところで出ましたね」と監督。

 今季は打線の固定を掲げ、選手一人ひとりの役割を明確にしてきた。レギュラーシーズンからCS最終Sまで2週間空いたが、主力野手全員を秋季教育リーグに参加させて実戦感覚を養ってきた。もう戦い方は決まっている。何かを変える必要はなかった。

 CS3試合とも、スタメンは18年ぶりのリーグ優勝を決めた9月14日と全く同じ1~8番だった。リードすれば強力な救援陣もいる。そして本拠の大歓声。監督は「(投手は)震えながら投げていたみたい」と言い、ファンに感謝した。

 岡田監督は過去のポストシーズンで苦汁をなめてきた。圧倒的な攻撃力で優勝した2005年は日本シリーズで打線が機能せず4戦全敗した。

 より固定化された今年のチームはその分、成熟している。岡田監督は「色んな意味でもね、相手(を)上回ったんちゃうかな」。38年ぶりの日本一へ、機は熟したとみる。(大坂尚子)

MVPは木浪

 木浪(神) CS最終SのMVP。「バッティングより守備が大事だと思っていた。集中して入っていけたし、それもあって(良い)打撃につながった」

 坂本(神) 六回に勝ち越し適時打。「僕の後ろの(木浪)聖也が一番打っている。向こうがストライクゾーンで勝負してくるのも想像がついたので、早めに打ちにいこうと思っていた」

広島、3戦連続逆転負け

 広島は阪神に3試合連続の逆転負けを喫し、2018年以来の日本シリーズ進出はならなかった。

 四回、坂倉の右前適時打で均衡を破り、最終Sの全試合で先行した。だが、中5日で先発したチーム勝ち頭の床田はリードを守り切れず、直後に2失点。六回は2死走者なしから捕まり、勝ち越しを許した。

 就任1年目の新井監督はチームを「家族」と称し、「私たちは戦いながら強くなっていく」と言った。若手の力を引き出し、ベテランの自信を取り戻させて「家族一丸」で5年ぶりのAクラス入りに導いた。

 阪神との短期決戦は、攻守で力の差を見せつけられたが「選手の頑張りをすごく感じた。全員にありがとうと言いたい」と新井監督。さらに強くなるための課題を残し、「新井流」最初のシーズンが終わった。

     ◇

 床田(広) 6回3失点。「勝負どころでツーシームをなかなか使えなかった。(今後は)ツーシーム以外でも勝負できる球をつくっていきたい」

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
大坂尚子
スポーツ部|高校野球担当キャップ
専門・関心分野
野球、アメフト、フィギュアスケート