テレ東、人権意識希薄認める 旧ジャニ性加害問題で調査報告書を公開

堀越理菜
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 テレビ東京ホールディングスは26日、旧ジャニーズ事務所(SMILE―UP.)の創業者ジャニー喜多川氏による性加害問題を受け、報道や取引関係について検証した報告書を同社のホームページに公表した。テレビ東京の石川一郎社長は、同日の定例会見で、人権意識が希薄だったとし、「少なくとも真偽を確かめるといった行動を取るべきだった」と述べた。

 検証は、報道局やコンテンツ戦略局、制作局の現役社員や退職した元社員ら134人を対象にした。旧ジャニーズ事務所と文芸春秋との裁判の際などに報道をしてこなかったことについては、「ワイドショーで扱う内容で、経済報道を中心とするテレビ東京の報道向きではない」との意識が強かったなどとし、報道現場の人権意識が希薄だったとした。

 一方で、事務所側からの圧力や事務所への忖度(そんたく)が、同局の報道をゆがめ、手加減につながったという事例は1件も確認できなかったという。

 ジャニー氏の性加害については、「事務所に過去に出入りしていた男性から被害を受けたと聞いた」「迫られたと子どもたちから聞いた」と証言した元社員はいたが、真偽を確かめるような行動には至らなかったという。

 バラエティーや音楽番組などの編成・制作に関しては、事務所を重要な取引先と位置づけ、編成・制作局で意向を尊重したり、番組共演者の選定で一定の譲歩をしたほうが得策と考えたりした局面はあったとしつつ、制作現場では通常のビジネス慣行における駆け引きや取引条件をめぐる交渉の一環と受け止めていたとした。

 同局は、26日夕方に、報告書の内容をまとめた15分間の特別番組を放送した。先月末の定例会見では、検証番組の放送予定はないとしていたが放送に至ったことについて、石川社長は26日、社内での議論や調査結果を受け、「今回こういう特番も含めて、きちんと皆様にご報告して、テレビ東京としてのスタンスを明確にしたい」という判断に至ったと説明した。

 11月上旬には、人権尊重のための基本指針となる「テレビ東京グループ人権方針」を作成するほか、「人権委員会(仮称)」を設置するという。(堀越理菜)

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