阪神村上、成長の生命線 7回無失点でオリ山本との投げ合い制す

阪神タイガース日本シリーズ

加藤秀彬
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 プロ野球SMBC日本シリーズ2023は28日、京セラドーム大阪で開幕した。パ・リーグを3連覇したオリックスと、18年ぶりにセ・リーグを制した阪神の顔合わせで、シリーズでの両チームの対戦は初めて。阪神は先発・村上が7回2安打無失点と流れを呼び込んだ。オリックスはエース・山本が六回途中7失点と明暗が分かれた。オリックスは2年連続、阪神は38年ぶりの日本一を目指す。

 第2戦は29日に京セラドーム大阪で行われる。予告先発はオリックスが宮城大弥、阪神が西勇輝

 打線が球界のエース、オリックスの山本から4点を奪った直後だった。

 五回。阪神の村上は初めて得点圏に走者を背負った。1死一、二塁のピンチで迎えたのは、今季交流戦で本塁打を浴びているゴンザレスだった。

 1ボール2ストライクと追い込むと、ファウルで粘る相手にも根負けしなかった。力のある打者に対して徹底的にコースを突いた。

 152キロの速球の後の7球目には、108キロのカーブ。一歩間違えれば長打される球も、甘くならない自信があるから臆することなく投げきった。

 そして、10球目。最後は151キロのストレートで内角高めを突き、二飛に詰まらせた。次打者若月も三ゴロに仕留めて、この回も無失点にしのいだ。

 2年目の昨季は登板なし。今季の初登板は中継ぎ起用だったが、ローテーションの谷間にチャンスをつかむと、シーズン10勝を挙げるまでに成長した。その生命線がこの制球力だ。

 レギュラーシーズンの規定投球回に達した投手のうち、四球が最少タイの「15」。この日も、四回まで12人連続で初球にストライクを奪うか、凡打に打ち取った。ゴンザレスの直前、紅林にこの日初めてボール球から入り、四球も与え、ピンチを招いたが動じなかった。

 クライマックスシリーズ最終ステージの初戦も先発し、チームの顔となった25歳。「いつも通りにやっていきたい」と淡々と語っていた右腕が、敵地で十分すぎる仕事をやってのけた。(加藤秀彬)

期待に応えた渡辺諒、詰まっても先制打

 阪神の渡辺諒が「関西シリーズ」最初の得点をたたき出した。五回、中前安打で出塁した佐藤輝の二盗などで1死三塁の好機。オリックス・山本の初球の155キロに詰まりながらも、中前への適時打とした。「初球から思い切って打ちにいった。完璧に捉えた打球ではなかったけど、適時打になってよかった」

 昨年オフに日本ハムから移籍してきた右打者。今季は代打を中心に59試合に出場したが、打率1割7分7厘と結果を残せなかった。対山本も今季3打数無安打と相性は良くなかったが、7番指名打者で先発起用された期待に見事に応えた。

木浪は「泥臭く」 持ち味発揮の複数安打

 阪神の木浪が持ち味を発揮した。右へ左へ安打を放ち、球界を代表するオリックスのエース、山本攻略に一役担った。大一番の初戦で結果を出し、「いつも通り、つなぐ意識で打ちました。泥臭く自分らしいヒットが打てました」。

 打順は下位ながら、様々な攻撃の足がかりを作り、チーム18年ぶりの優勝に貢献した。クライマックスシリーズ最終ステージ第2戦の広島戦でもサヨナラ安打を放つなど、好調を維持。「恐怖の8番打者」が機能する阪神打線は、パを3連覇したオリックスにとっても手ごわいはずだ。

     ◇

 近本(神) 五回、1点を先取した後に2点三塁打。「自分自身も良い流れに乗ることができた。1点だけに終わらず、追加点が取れてよかった」

 中野(神) 五回、左前適時打で4点目をたたき出す。「近本さんが良い適時打を打ってくれた。自分も後ろへつなぐ気持ちでした」

 坂本(神) 六回に適時二塁打。「(村上)頌樹(しょうき)も頑張って投げてくれていた。少しでも楽な展開に、と思っていたので適時打になってよかった」

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この記事を書いた人
加藤秀彬
スポーツ部
専門・関心分野
陸上、サッカー、海外スポーツ