日本Sで相次いだ「サンテレビしか勝たん」 阪神愛で支え続け半世紀

日本シリーズ阪神タイガース

岩本修弥
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 熱狂的な応援で知られる阪神ファンを支えたのが、地元の独立放送局・サンテレビ(本社・神戸市)だ。半世紀にわたり阪神戦の中継を続け、これまで計3664の公式試合(今シーズン終了時点)を放送。どんなに試合が長引いても最後まで放送する「阪神愛」で、ファンとともに阪神の日本一を後押しした。

 サンテレビは1969年5月1日に開局。その5日後、阪神対広島戦(甲子園)からプロ野球中継を始めた。兵庫県大阪府内全域のほか、中国・四国地方の一部など約790万世帯、1700万人が視聴可能だ。

 人気の秘訣(ひけつ)は、プレーボールから試合終了までの完全中継だ。「スコアブックの書ける中継」を掲げ、試合中のCMが短いことで知られる。監督や選手のヒーローインタビューまで、選手たちの声をファンに届けている。

 92年の阪神対ヤクルト戦では、日本プロ野球史上最長試合となる6時間26分の試合を中継した。

 根強い人気は、視聴率からも見える。リーグ優勝を決めた9月14日の巨人戦では、関西地区の平均世帯視聴率が20・8%(ビデオリサーチ調べ)。ビデオリサーチの統計が始まった1997年以降、同局の中継で最高の平均視聴率を記録した。瞬間最高視聴率は29・0%で、岡田彰布(あきのぶ)監督が胴上げされる直前の午後8時51分ごろだった。

 「サンテレビといえば、阪神タイガース」。そんな同局の阪神愛は、ファンの間にも浸透している。10月28日から始まった日本シリーズはキー局が中継したが、インタビューの途中で放送を終了。X(旧ツイッター)では「サンテレビ」がトレンド入りし、「やっぱサンテレビしか勝たん」「サンテレビでも放送して」など、同局での中継を求める声が相次いだ。

 リーグ優勝を決めた試合で実況を務めた、湯浅明彦アナウンス部長(49)によると、実況席や裏方を含め、同局が一致団結して阪神優勝を祈っていたという。「今年は会議で誰も『優勝』と言わず、岡田監督の『ARE』を使っていた。ファンにも思いが浸透し、一緒に優勝をつかめたのではないか」(岩本修弥)

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