求人倍率15倍、「介護崩壊」の懸念に現実味 ヘルパーの高年齢化も

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編集委員・清川卓史 関根慎一
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 物価高を受けて賃上げが進む他産業との賃金格差が目立つ介護業界。人材不足にも拍車がかかっている。政府は介護職らの報酬を月6千円増やす方針だが、対策として十分とは言えない。報酬の増額には介護保険料の引き上げが必要で、負担増との難しいバランスをとることが求められる。

 人材不足がとりわけ深刻なのが訪問介護だ。ヘルパーの有効求人倍率は2022年度に15・53倍に達した。影響は利用者にも及びだしている。

 「すでに訪問介護では、介護職員の不足によりサービス提供をお断りせざるを得ないようなケースや、施設では空室があるにもかかわらず、利用者を受け入れられない状況が広がっている。このままでは担い手不足によって、介護保険制度は崩壊してしまうんじゃないか」

 10月18日。介護従事者の労働組合「日本介護クラフトユニオン」の染川朗会長は、処遇改善などを求める60万筆超の署名を武見敬三厚生労働相に提出。その後の記者会見でこう訴えた。

平均年齢54.7歳、減る若い世代

 今年8月の有効求人倍率は…

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この記事を書いた人
清川卓史
編集委員|社会保障担当
専門・関心分野
認知症・介護、貧困、社会的孤立
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    永田豊隆
    (朝日新聞記者=貧困、依存症、社会保障)
    2023年12月7日16時30分 投稿
    【視点】

    「介護崩壊」問題、個人的にも他人事ではありません。 妻が精神障害者なので、わが家もフルに訪問支援を使っています。そうでなければ、こうして私が新聞記者を続けることもできません。 ケアを必要とする本人にとっても、家族にとっても、訪問介護はラ

    …続きを読む