第1回タイでアイドルになった私 立ちはだかった選抜の壁…そして決めた

有料記事私のスイッチ 人生の決断

バンコク=大部俊哉
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 ステージでスポットライトを浴びるその笑顔は、キラキラと輝いていた。

 12月3日、タイのアイドルグループ「BNK48」のMIORI(ミオリ)こと大久保美織さん(25)が、首都バンコクでファンイベントの舞台に立っていた。

 卒業ソング「GIVE ME FIVE!」が流れ出す。センターの立ち位置に、その姿はあった。

 2023年末。グループ卒業の日を迎える。

     ◇

 タイとの出会いは10歳、小5の時だった。

 父親の転勤で、故郷の茨城県つくば市から家族でバンコクに移住した。バンコクの日本人学校では、ほぼ日本語だけの生活だった。だが、日本にいたころから英語に憧れがあった。思い描いていたのはアメリカの青春映画に出てくるような学校生活。タイに来てからも、その思いはつのった。

 正直、勉強するのは苦手だ。でも、後悔はしたくない。

【連載】私のスイッチ 人生の決断

人生には様々な分かれ道があります。迷いや葛藤、別れ……。心の中の「スイッチ」を押して、新しい生き方を選んだ世界の人々の物語をお届けします。

 そう思い、中3の時にインターナショナルスクールに入り、英語の生活に自ら飛び込んだ。授業で疲れ果て、帰宅するとすぐ爆睡の日々。仲良しのクラスメートが先にネイティブと同じクラスに上がったのをきっかけに、日本語を使わない環境に自分を追い込んだ。

 1年半かかってネイティブクラスに編入。高校卒業が近づく頃には、英語での会話に不自由も少なくなっていた。大学受験のために英語の試験も受けたが、それでも勉強は好きになれず、進路に悩んでいた。

歌はどうにもならない

 そして出会いが訪れた。

 「BNK48 1期生オーディション」

秋元康さんがプロデュースする48グループの特徴である「選抜」という壁。MIORIさんはどう立ち向かったのか。そして、卒業を決めた思いとは――。記事後半ではMIORIさんのインタビューやライブの動画もご覧いただけます。

 スマホを見ていると、SNS…

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この記事を書いた人
大部俊哉
アジア総局|東南アジア・太平洋島嶼国担当
専門・関心分野
安全保障、国際政治、貧困問題