阪神・湯浅京己のテンション上げた1cm 日本Sの快投と黒いグラブ

有料記事阪神タイガース

山口史朗
[PR]

 真っ黒で、刺繡(ししゅう)などの加工は何もされていない。

 その「無印」のグラブは、1~2週間後にはどこかのスポーツ用品店に出荷されるはずだった。

 そして、手に取った中学生や高校生が買うかもしれなかった。

 市販用に作られた、阪神の湯浅京己(あつき)モデルのグラブに、ほかでもない湯浅本人が手を入れたのは、今年8月末のことだった。

 「めっちゃしっくりくる!」。24歳の表情が、パッと明るくなった。

 この日、湯浅はアドバイザリー契約を結ぶ株式会社「ザナックス」の大阪本社(大阪市浪速区)を訪れていた。

 「クライマックスシリーズ日本シリーズへ向けて新しいグラブを作ろう」

 そう提案したのは、ザナックスの担当、丸井悠平さん(39)だった。

 丸井さんは入団1年目から湯浅を知る。

 「京己は道具が大好き。新しいグラブを受け取るとき、表情が明るくなってテンションが上がる」

 今季の湯浅はコンディショニング不良もあり、思うような結果を残せていなかった。救援失敗が続いた6月半ばから、2軍で調整していた。

 チームは湯浅抜きでも首位を突き進んでいた。が、本人はもちろん、丸井さんも今季中の復帰をあきらめていなかった。

 メーカーの担当者として何ができるか。

 道具が大好きな湯浅のことを考え、思いついたのが新しいグラブの提案だった。

 湯浅は今季、ずっと丸井さんに「グラブが大きい気がする」と言っていた。

 活躍した昨年と同じ採寸のは…

この記事は有料記事です。残り1200文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
山口史朗
スポーツ部|野球担当
専門・関心分野
野球全般、体操、競馬