「200万のガザ市民に、どうか慈悲を」 若者は地面を踏みつけた
イスラエル軍とイスラム組織ハマスとの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザ地区での死者数が1日、2万7千人を超えた。イスラエル軍は大勢の避難民が殺到するガザ南部への攻撃を強めており、食料不足などの人道危機も深刻になる一方だ。ガザ境界に近いエジプト側の検問所を訪れると、命からがら故郷を脱出し、心身ともに深い傷を負っている人たちがいた。
記者は、1日にあったエジプト大統領府主催の取材ツアーに、エジプト、ロシア、スペイン、イラクなどのメディアとともに参加した。
首都カイロからバスで6時間。まず、シナイ半島北部に位置するアリーシュ空港に着いた。ガザへの支援物資の受け入れ基地になってきたこの空港に、カタール軍の輸送機が着陸し、待機していた。ガザからエジプトに搬送されてきた30人近くの負傷者と、その家族を引き受けるためだ。
搭乗前に取材に応じたアハマドさん(17)は、イスラエル軍が「ハマスの重要拠点」として攻勢を強めるガザ南部ハンユニスから逃れてきた。
10日前に自宅がイスラエル軍の攻撃を受け、自身は別の場所にいて難を逃れたものの、父親と母親、姉が亡くなった。両脚を失ったアミーナさん(13)、目を負傷したアロワさん(10)の2人の妹とともにカタールに向かうという。
ハンユニスの路上には、たくさんの遺体が転がっていたが、爆撃や戦闘のために回収できない状態だったという。「カタールでもエジプトでもいい。全てが死につながっているガザにだけは、帰りたくない」
ガザから搬送されてきた人たちの支援にあたるカタール赤新月社で、精神面のケアを担当するファトマ・ホワリさんは、「家族や友人、家、財産を失ったショックから、自分がどのように負傷したかを説明できない患者も多い」と話す。日常的に爆撃にさらされていたため、音に過敏に反応する傾向もあるという。
数キロのトラックの列、難関は
アリーシュ空港からさらに東…
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