月でジャンプ、通信も達成 「1点」と辛口評価された小型ロボの偉業

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石倉徹也
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 月探査機SLIM(スリム)が月面に「逆立ち」で着地している画像を撮ったのは、直径8センチ程度の「おもちゃ」だった。

 月面着陸の「証人」になった小型ロボット。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の幹部から「1点」と辛口評価されたロボットだが、さまざまな世界初の技術を実証した。

 「あの絵をみた瞬間、私は腰が抜けそうになった」。探査機がメインエンジンを上向きの逆立ちで着地している画像を見た時の心境を、SLIMの坂井真一郎プロジェクトマネージャはそう表現した。

 小型ロボ2機が月面へ放出されたのは、SLIMが上空5メートルまで近づいた時だった。SLIMは2基あるメインエンジンのうち1基を失い、減速がままならない状態だったが、2機は月面に無事降り立った。

 重さ約250グラム、野球ボールほどの大きさの「LEV(レブ)-2」は着陸後、中央が割れるように変形して活動を始め、画像を複数枚撮影した。その中に、SLIMの姿が写っていた。

 データの送信を担ったのは、もう一つのロボ「LEV-1」だった。

 無線通信で画像を受け取ったLEV-1は、データを約38万キロ離れた地球に直接送信した。太陽光発電ができずバッテリーでどうにか動いていたSLIMを介すことなく、直接送信できる仕様だったのが奏功した。SLIMが月面に降り立った決定的な証拠となった。

■会見で悔しさ見せた担当者…

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この記事を書いた人
石倉徹也
科学みらい部
専門・関心分野
数学、物理、宇宙・天文