強烈だった菅義偉氏の父 人と言葉に着目するベテラン記者の書き方

有料記事新聞記者の文章術

編集委員・大鹿靖明
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編集委員・大鹿靖明

 人間ほど興味深いものはない。愉快な人、すごい人、ざまあみろと言いたくなる人。新聞記事は「5W1H」が不可欠とされるが、実は「誰が」にあたる「Who」があいまいだったり、「幹部」「関係者」と匿名だったりすることが少なくない。「財務省は」などと役所や企業を主語にした記事も多い。人物紹介欄も「人間」を書き切るには小さなスペースだ。

 読者をひきつけるのは「人」。それを実感したのは、新聞を離れてAERA編集部に在籍した9年半の雑誌経験だった。在籍中、省庁や大企業を書くときに、人物に着目して書く方法を編み出した。

 東京電力原発事故の記事では、勝俣恒久会長の生い立ちをさかのぼり、その言動を交えて書く。浮かび上がったのは「慢心」だった。日本航空の倒産を描くときには、財務部門出身者として再建役を期待されて登板したのに、会社更生法の適用の申請に追い込まれた西松遙社長を主人公に据えた。つまり「期待外れ」。こうすれば、官報みたいな経済記事がストーリーに変わる。

文末に取り上げた文章へのリンクがあります。

 アンドリュー・ロス・ソーキ…

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この記事を書いた人
大鹿靖明
編集委員
専門・関心分野
経済、歴史、人間、ジャーナリズム、ロック