第3回「安定か民主主義なら前者を」 盤石のプーチン体制、沈黙する市民

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 「身の安全を考えて反政権デモに参加したことはない。でも、私にとって彼は不滅の英雄です」

 ロシアの反政権派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の死亡が伝えられた2月16日の夜。市民が次々と追悼の献花に訪れる様子を、少し離れて見守っていた20代の女性はこう話した。献花後もその場を離れられないのだという。

 同日午後、突然の訃報(ふほう)に言葉を失い、その後、涙が止まらなかった。友人3人とともにモスクワ中心部の旧ソ連時代の粛清への慰霊碑を訪れたが、1人はまだ泣いており、別の友人が肩を抱いて慰めた。慰霊碑の周囲では大勢の警官が、突発的な反政権行動を警戒し、市民にすぐに立ち去るよう求めていた。

 女性は「今日は集会でないから、花を持ってくれば、警官が厳しくは言わない」と言葉少なに話した。そして、「名前は言わない」と、最後まで外国人である記者への警戒心は緩めなかった。

 北極圏の刑務所に収監されていたナワリヌイ氏の死には不可解な点が多い。3月1日のナワリヌイ氏の葬儀や埋葬には数千人が訪れた。そこには、「プーチン(大統領)なきロシアを」「戦争反対」などと声を上げる支持者を、半ば囲むように離れて立つ人々の姿があった。

「何も言わない」 拒絶する男性

 その中の1人の男性に声をか…

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2024年3月16日22時25分 投稿
    【視点】

    戦場の凄惨さを伝える記事ではありません。それでも、国民のための国家を運命共同体としての国家へと傾かせる、戦争の恐ろしさを伝えています。そして、国家に異を唱える自由のない社会に民主主義はないこともこの記事は伝えています。ロシアの現状報告を超え

    …続きを読む
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