「一緒に泣くことぐらいできる」さだまさしさんら能登で復興祈り歌う

有料記事能登半島地震

上田真由美
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 能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市の須須(すず)神社で15日、シンガー・ソングライターのさだまさしさんらが復興祈願をし、コンサートを行った。泉谷しげるさんや相川七瀬さん、父親のルーツが珠洲市にあるという半崎美子さんも駆け付けて歌い、約250人が耳を傾けた。

 神社の拝殿に立ったさださんは「大変な思いをされて、まだまだ落ち着かないことだと思いますけど、僕らはこういうことで少しでも元気を出していただけると幸せだなと思ってみんなでやってきました」と切り出した。「我々は本当の意味で痛みを理解することはできないと思うけど、一緒に泣くことぐらいはできるので」と語りかけ、「案山子(かかし)」を歌った。

 相川さんは東日本大震災を機につくった鎮魂歌「むすんでひらいて」をしっとり歌った後、集まった人たちの間に入って一緒に手拍子しながら「夢見る少女じゃいられない」を熱唱し、会場は大盛り上がり。

 泉谷さんは「春夏秋冬」の「今日ですべてが終わるさ 今日ですべてが変わる 今日ですべてがむくわれる 今日ですべてが始まるさ」というフレーズの中に、「せめて今日、せめて今日を自分の今日にしよう」と怒鳴るように絞り出すように言葉を挟み、会場からはすすり泣きも聞こえた。

 聴き入っていた鍛治(かじ)ちい子さん(82)は以前も大きな病気をしたときに娘から贈られたさださんの歌に励まされたといい、「ずっと会いたかったので聴けてよかった」と目を輝かせていた。自宅に住めてはいるものの、断水で厳しい生活が続く。隣で聞いていた娘のかつみさん(52)は「泉谷さんの大好きな『春夏秋冬』が聴けてすごくうれしかった」と話した。

神社に集ったのは著名なアーティストと、奈良の高名なお坊さんたち。宗教・宗派を超えた祈りのきっかけは、東日本大震災にさかのぼります。

 祈願とコンサートを呼びかけ…

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この記事を書いた人
上田真由美
金沢総局|能登駐在
専門・関心分野
民主主義、人口減少、日記など市井の記録を残す営み
能登半島地震

能登半島地震

1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る]