DVから過食症に 「食べたらいいよ」バリで出会った3歳年下の夫

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河合真美江
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 一緒に暮らし始めた日から暴力をふるわれた。

 岡田玲子さん(52)が大阪から神奈川の彼のもとへ引っ越した、27歳のその日。荷物の片付けが夜までかかり、やっとお風呂に入ってドライヤーで髪を乾かしていた。

 「こんな夜中に非常識だろ」。顔をなぐられ、おなかをけられた。

 私が悪いんだ。ごめんなさい!

 暴力が日常茶飯事になった。なぐられて鼻の骨が折れた。料理が気に入らないとテーブルをひっくり返された。扇風機を投げ飛ばされた。包丁を突きつけられた。

 怖くなって外へ飛び出しても、連れ戻され、体ごともちあげて床にたたきつけられた。

 玲子さんは夫の帰りを待ちながら、今日はどんなことで怒られるだろうとビクビクしていた。でも、家から逃げだそうとは思いもしなかった。

 愛していると初めて感じた人。運命の人だと思っていたから。

 彼とは通いつめていたインドネシア・バリで出会った。俳優のようなサーファーだった。

        ◇

 連日の暴力にさらされ、結婚5年目。大阪から来た友人に話すと、言われた。「DV(ドメスティックバイオレンス)やで。もし私が同じことをされていたら、どう思う?」

 これがDVというものか――。それでも、やっぱり自分が悪いのだと思ってしまう。

 だがある日、なぐられている最中、体が震えて止まらなくなった。もうダメだ! お財布ひとつ持って、家を飛び出した。

 その半年前から、食事もほとんどとれていなかった。「だれに食わせてもらっているんだ!」。夫の口癖が体に入ってしまったようで、ご飯がのどを通らなくなった。

 170センチ近い身長で40キロ台まで減っていた。実家で迎えた母親は、やせた体を抱きしめてくれた。

 離婚が成立した時、それでも玲子さんは悲しかった。あれだけ好きだった人と、本当に終わりなんだと。

 ただ、暴力から逃れてホッとしたし、食べられなかった反動があったのだろう。むちゃくちゃ食べ始めた。夕飯をしっかり食べても、家族が寝たころ、隠れてお菓子やパンをむさぼり食べるようになった。

夕飯後もコンビニで買い出し 募る罪悪感

 体重が増え始め、まずいと思…

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この記事を書いた人
河合真美江
文化部|宝塚歌劇・文芸担当
専門・関心分野
女性の生き方、宝塚歌劇、グリーフケア