土砂崩れで埋まった川に戻った「光の道」1キロ 石川・能登町

写真ルポ 能登半島地震

金居達朗
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 能登半島地震の被害を受けた石川県能登町国重の九里川尻川の上流で、ゲンジボタルが飛び交っている。周辺では地震で土砂崩れが起き、川を埋めた場所もあったが、今年も淡い光を放ち始めた。

 国重地区長の吉田義法さん(53)によると、周辺は田んぼに囲まれた集落で、ほとんどの住人が農業を営んでいる。能登地方のブランド米として知られる「能登棚田米」の産地で、農薬の使用量が少なくホタルの生育環境が整っている。地区では清流を維持し、川沿いを整備してホタルのエサになる巻き貝のカワニナが育つ環境を保ってきた。川沿いのおよそ1キロにわたってホタルが飛び交い、「光の道ができる」こともあるという。

 能登の里山に残るホタルについて吉田さんは、「人がいなくなれば周囲は荒れ果てホタルが生育できなくなるかもしれない。ホタルが飛び交うのは、そこに人の営みがあるということでもある」と話す。

 地区では地震の被害は少なかったものの、吉田さんは「高齢化で、20年以内に住人がいなくなるかもしれない」と存亡を危惧している。

 地震発生直後は、地区の住民で手を取り合いながら、山水を引いて発電機を使いながら集会所で避難の日々を過ごした。「長い年月をかけて醸成されたコミュニティーで乗り越えてきた。復興とともに地域を守っていきたい」(金居達朗)

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能登半島地震

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