少年に撃ち込まれた5発の弾丸 西岸で激化する「対テロ作戦」の実態

有料記事イスラエル・パレスチナ問題

ヨルダン川西岸ジェニン=其山史晃
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 昨年10月7日にパレスチナ自治区ガザに軍事侵攻したイスラエルは、ヨルダン川西岸でも攻勢を強め、大規模な「対テロ作戦」を続けている。西岸のパレスチナ人の死者は9カ月間で550人を超えた。うち100人以上を占める北部ジェニンで15歳の息子を亡くした住民らがその実態を語った。

 5月21日午前7時45分ごろ、勤務先の学校への通勤のため、同僚と乗用車の後部座席に乗っていたジェニンの教師モハメド・アルマスリさん(44)はサイレンが鳴り響くのを聞いた。イスラエル軍が市内に侵入したことを知らせる警報だ。

 学校までは3分ほどかかる。車窓からは、パニックになった人たちがあわてて屋内に避難する姿が見える。学校まであと30秒。銃声が聞こえた。自分にも当たったようだが、恐怖のあまりどこが痛いのかもわからず、必死に身をかがめ続けた。部隊の姿は見えず、どこから撃っているのかも想像がつかない。

寄りかかってきた同僚を見ると

 運転手がハンドルを切った時…

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この記事を書いた人
其山史晃
中東アフリカ総局長
専門・関心分野
中東、安全保障、地政学、テロリズム
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    高橋真樹
    (ノンフィクションライター)
    2024年7月19日16時40分 投稿
    【視点】

    日々、パレスチナでは想像を絶する事件が起きています。しかし、あまりに酷すぎることが続くと、ニュースを発信する側も受け取る側も、当たり前になってしまうのかもしれません。被害者の人数が多くなければ、メディアに取り上げられないことも増えています。

    …続きを読む
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