被爆死した「南方特別留学生」、マレーシアから遺族が墓参りに

魚住あかり
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 原爆投下で亡くなった「南方特別留学生」のニック・ユソフさんの遺族が24日、広島市佐伯区の光禅寺に墓参りに訪れた。マレーシアに住むめいのニック・マヒザンさん(63)ら8人が、墓前でユソフさんを悼んだ。

 イギリス領マラヤ(現・マレーシア)出身のユソフさんは太平洋戦争中に日本政府が招いた「南方特別留学生」の一人だった。1943年に来日して広島文理科大(現・広島大)で学んだが、45年に爆心地から約900メートルにあった留学生寮で被爆し、亡くなった。まだ19歳だったという。戦後に遺骨が光禅寺に持ち込まれ、イスラム式の墓に葬られた。

 今回の訪問は、マレーシア出身のヌルハイザル・アザム・アリフ広島市立大准教授が、南方特別留学生についてSNSに投稿したことがきっかけ。投稿を目にしたマヒザンさんが連絡し、墓参りが実現した。

 寺の高台にある墓の前で、マヒザンさんらはコーランの一節を唱えてユソフさんを悼んだ。マヒザンさんは「伯父はとても優秀な人だったと家族から聞いていた。全く知られていない南方特別留学生のことを、母国でもっと発信したい」と話した。(魚住あかり)

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この記事を書いた人
魚住あかり
広島総局
専門・関心分野
平和、教育