津波で浸水した実家は腰の高さまで泥だらけで、窓ガラスが割れ、畳が反り返っていた。倒壊した家々のがれきが散らばる光景は、「時空がゆがんだよう」で、現実として受け入れるのが困難だった。
能登半島地震で、そんな体験をした若者が、避難所での出来事や心情をイラストにして発信を続けている。
金沢市内の金沢美術工芸大学に通う坂口歩さん(21)。あの地震が起きた1月、石川県能登町白丸の実家に帰省中だった。
居間のこたつで温まっていると、突然大きな横揺れが襲った。2階建ての家がギシギシと音を立てて揺れ、大学の課題が詰まったパソコンとタブレットを抱え、慌てて家を飛び出した。
実家は海から約100メートル。家族で裏山に避難すると、津波が住宅を破壊するバキバキバキという音が木々の向こうから聞こえた。
いらだつ被災者 眠れない日々 涙止まらず
身を寄せた避難所は、被災者であふれていた。坂口さんの家族4人が確保できたのは2人が横になれるだけのスペース。家族で交代で眠った。
被災者の多くがいらだってい…
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