安倍氏を救護した医師が伝え続けたいもの 社会が向き合うべき糸口は

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富岡万葉
【動画】安倍晋三元首相の銃撃事件で 当時現場で救命措置をした中岡伸悟医師のインタビュー=白井伸洋、上田真美撮影
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 安倍晋三元首相が奈良市で銃撃され死亡した事件から、8日で2年。現場となった近鉄大和西大寺(やまとさいだいじ)駅前の交差点は大きく姿を変え、当時のおもかげはない。現場の目の前にあるビルで内科クリニックを営み、事件直後に安倍氏の救護をした医師は、どうすれば社会が事件を防ぐことができたのか自問し続けている。

 「安倍さんが撃たれた!」「先生、助けてあげて!」。2022年7月8日午前11時半ごろ、中岡伸悟さん(66)が診察していると、受付に通院患者の家族が飛び込んで来た。

 銃撃音も叫び声も聞こえなかった。安倍氏が来県していることさえ知らなかった。「あべさん」が元首相のことと結びつかないまま、外に駆け出すと、道路に横たわる男性が見えた。安倍氏だった。顔面は蒼白(そうはく)。すでに周囲の人々によって心臓マッサージが始まっていた。

 誰かが持ってきたAED(自動体外式除細動器)は電気ショックが起きなかった。

 メンテナンス不足かもしれな…

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