「涙は枯れた。前を向くだけ」母が大好きだった輪島に家を 娘の決意

有料記事with NOTO 能登の記者ノート

安田琢典
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 全壊した石川県輪島市の実家の前には青い海が広がり、裏庭には母が野菜を丁寧に育てていた畑があった。

 看護師の滝川久子さん(66)は、一人暮らしをしていた母に教わりながら土いじりを始めるつもりだった。

 2階建ての実家の1階部分が崩れ、88歳の母は下敷きになって亡くなった。

 かろうじて原形を保つ2階部分には、退職後は実家で暮らそうと思い、滝川さんが少しずつ運び入れていた訪問着などが残されていた。

 震災直後からボランティアに頼らず、たった1人で荷物を運び出す滝川さんと一緒に、6月20日、私は2階部分に入った。滝川さんが趣味にしていた三味線や、滝川さんの子どもたちの卒業証書などが見つかった。

 「ほこりまみれになっていて…

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