第2回幹部指名し「計画セクハラ」 歴代教え子も訴え 元監督は留守電で…

有料記事スポーツと性暴力

編集委員・中小路徹 藤田絢子
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 「言いたくないけど、采配というか、そういったところの実力はあったのだと思います。チームは結果を残していたし」

 東京富士大ソフトボール部員だった女性は、2016年に当時70代だった監督の男性からセクハラを受けた。この元監督は、選手や保護者からは崇拝の対象だった。高校、大学、実業団の指導者を歴任し、全国優勝も遂げた。日本代表の指導者や選手とも仲が良かった。

 女性は17年12月、元監督と大学側に約1100万円の損害賠償を求めた訴訟を起こした。東京地裁は20年8月、「絶対的立場にある監督からセクハラを受けた」と認め、大学と元監督に合わせて約80万円の賠償を命じた。控訴審では、東京高裁が21年、大学と元監督に約112万円の賠償を命じた。

 女性の弁護士は「全てを握っている絶対権力者が、学生たちを犬のようにコントロールして、勝利という結果も出すけど、自分のやりたいようにやる。そうした構図ができあがっていた」と、性暴力が表にでにくい背景について分析する。

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 性暴力を受けた被害者の傷は何年経っても癒えることがありません。朝日新聞では改めて、スポーツ界の性暴力問題に取り組みます。情報や体験談、ご意見をt-sports-dept@asahi.comメールするまでお寄せください。

【性暴力に関する相談窓口】 ■性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(内閣府男女共同参画局) 電話:#8891 ■スポーツにおける暴力行為等相談窓口(日本スポーツ協会) 電話:03・6910・5827 ※毎週火、木曜の午後1~5時受け付け

 裁判では、女性以外にも、東京富士大ソフトボール部の先輩が証言台に立ち、元監督に服を脱がされた、直接さわられた、キスや抱擁行為を日常的に強要されていた、などの被害を受けたことを証言した。

 女性によれば、被害に遭うの…

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この記事を書いた人
中小路徹
編集委員|スポーツと社会
専門・関心分野
スポーツと社会、サッカー、朝鮮半島
藤田絢子
スポーツ部
専門・関心分野
レスリング、スポーツと社会
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    中川文如
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長)
    2024年7月19日18時15分 投稿
    【視点】

    性暴力やハラスメントは論外として、日本の学生スポーツ界に巣くう悪しき閉鎖性が浮き彫りになる、女性の証言でもあるのだと感じます。 打てない選手に「寝るな」と命じ、夜通しの素振りを強制する。おにぎりをつくって持っていけば、唐突に「こんなの、い

    …続きを読む