安芸高田市長選、石丸前市長批判の新顔が当選 市政の刷新を訴え

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柳川迅 編集委員・副島英樹
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 石丸伸二前市長の辞職に伴う広島県安芸高田市長選は7日、投開票された。石丸市政の転換を訴えた無所属新顔で元郵便局長の藤本悦志氏(51)が、無所属新顔で前市議の熊高昌三氏(70)、無所属新顔の赤津誠一郎氏(44)、諸派新顔の森谷公昭氏(68)を破り、初当選した。当日有権者数は2万1995人。投票率は58.07%(前回56.98%)だった。

 藤本氏は同市吉田町の選挙事務所で、万歳をした支援者らに頭を下げた。「市長派とか反市長派とか足を引っ張る時期ではない。目の前の課題をオール安芸高田で乗り越えないといけない。選挙戦でしこりを残してはいけない」と喜んだ。

 藤本氏は選挙戦で、市議会と激しく対立した石丸市政について「市議会や市民との対話が少ない」と批判した。石丸氏の手法は対立と分断を招いたなどとして、市政の刷新を訴えた。

 石丸氏の施策にも反対を表明した。同市中心部にある計三つの保育所と幼稚園を統合し、認定こども園を整備する計画について、石丸氏は議会の反対を押し切って進めようとした。だが藤本氏はこの方針を変更する考えを示した。

 藤本氏は昨年11月末に立候補を表明した。20年以上郵便局長を務めるなど地域で長年活動してきた経歴をアピールしてきた。

 告示日には斉藤鉄夫衆院議員=公明=や森本真治参院議員=立憲=、自民党県議ら各党議員が藤本氏への支持を呼びかけた。

 一方、熊高氏は同市高宮町の選挙事務所で、「やはり組織選挙には勝てなかった。私の力不足だった」と話した。

 熊高氏は石丸市政の「継続と改善」を掲げてきた。市議会ではほとんどの議員が石丸氏の施策に反対する中で、支持を表明してきた。市議会が不承認とした、認定こども園に関する市長の専決処分も、2人の議員とともに承認に回った。

 立候補表明の会見では「石丸さんのめざす方向と私の方向はある意味同じ方向という気がした」と述べた。SNSでの情報発信など「政治の見える化」を継続するとし、動画サイトで街頭演説を中継するなど組織に頼らない選挙戦を進めたが、及ばなかった。

 川崎市から移住した赤津氏と、島根県浜田市在住の森谷氏は支持が広がらなかった。

 市選管が発表した確定票は以下の通り。

 藤本悦志氏=6746票▽熊高昌三氏=4541票▽赤津誠一郎氏=1216票▽森谷公昭氏=106票。

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この記事を書いた人
副島英樹
編集委員|広島総局駐在

平和、核問題、国際政治、地方ニュース

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    高橋真樹
    (ノンフィクションライター)
    2024年7月8日12時31分 投稿
    【視点】

    石丸前市長の都知事選の順位や獲得票数が注目されていますが、同時に行われたこの安芸高田市長選の結果を考えることは重要です。市民が前市長をどう評価したかが少なからず反映されていると言えるからです。 私は石丸前市長の政策を評価する立場にはありま

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