政府は8日、8月に退官する戸倉三郎・最高裁長官(69)の後任に今崎幸彦・最高裁判事(66)を指名する人事を内定した。近く閣議決定される見通し。

 裁判官出身者が最高裁長官に就くのは13代連続で、1979年以降は裁判官出身者以外は長官になっていない。

 最高裁長官は内閣が指名すると憲法で明記されているが、首相が現職長官の意見を聞いたうえで了承するのが慣例となっている。戸倉氏は8日、岸田文雄首相と面会し、今崎氏を次の長官として推薦したとみられる。

 今崎氏は57年生まれ。最高裁刑事局長や同事務総長、東京高裁長官を経て、2022年6月に最高裁判事に就任した。戸籍上の性別変更に生殖能力を失わせる手術を必要とする性同一性障害特例法の規定を「違憲・無効」とした昨年10月の最高裁大法廷決定や、旧優生保護法を「立法時点で違憲」とした今月3日の大法廷判決に加わった。

 また、戸籍上は男性だが女性として暮らすトランスジェンダーの経済産業省職員が、省内での女性トイレの使用を制限されたのは違法だと訴えた訴訟で、制限を認めた人事院の判定を違法とした昨年7月の最高裁判決で裁判長を務めた。

 戸倉氏は8月10日限りで最高裁長官を退き、それ以降に今崎氏が天皇の任命を受けて正式に長官に就任する見通し。(遠藤隆史