東大の学歴トップ君臨は「後進国」型 今も受け継がれる明治の価値観

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聞き手 シニアエディター・尾沢智史
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 明治以降、東京大学はトップの地位を占めてきました。一方で、諸悪の根源かのように批判する人も少なからずいました。著書「『反・東大』の思想史」が話題の政治学者・尾原宏之さんに、批判が今日まで続いている背景などを聞きました。

 ――明治時代から今に至るまで、「反・東大」の声が一部でありました。

 「日本社会で『東大』がそれだけ特別な地位を占め続けてきたからです。ある意味で『後進国』性の表れだといえます」

 「例えば米国だとハーバードだけではなく、イエールやスタンフォードなど同じ水準の大学が複数あります。そうしたトップ大学の学生も、リベラルアーツ・カレッジから編入したり、大学院などから入ったりすることも多い。高等教育にある程度の多様性があるわけです。一方、日本では、学士入学や大学院入試で東大などの一流大学に入ることを『学歴ロンダリング』と揶揄(やゆ)する風潮が存在します」

 「東大出身のロシア・東欧研究者から『モスクワ大学と東大には似たところがある』と聞いたことがあります。『後進国』が国民国家をつくっていく過程で、近代化を進めるための人材育成システムとして最高の教育機関をつくり、序列がつけられた。モスクワ大と東大が似ているというのはそういう意味でしょう。それがいまに至るまで持続しているように見えます」

 ――「後進国」性は東大のあり方や日本の教育にどんな影響を与えたのでしょうか。

 「一極集中で優秀な学生を集…

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