ピッチに響く藤田譲瑠チマの声「上手い下手は関係ない」コーチの教え
スタンド上部の記者席にいても、ピッチから甲高い声が聞こえてくる。
「右! もっと寄せろ」
「(判断を)変えていい! 変えていい!」
サッカー男子代表の主将、藤田譲瑠(じょえる)チマ(シントトロイデン)は試合中、常に声を出し続けている。
本人に原点を尋ねると、「小学生の頃、市川コーチに指導された影響が大きいです」。
彼が育った町田大蔵FC(東京都町田市)に足を運ぶと、市川雄太コーチが教えてくれた。「『声を出すことはうまい下手関係なく、誰でもできる良いプレーだよ』と伝えていたんです」
天性のリーダーシップがあったという。授業を終え、放課後になると仲間に電話する。「サッカーするから連絡網で回しておいて」。集合場所は、近くのグラウンド。1人でみんなに声をかけるのではなく、うまく伝達するよう仲間を動かしていた。世代別代表では、初めての招集でも合流して2日ほどでチームを動かし、周囲を驚かせた。
中学、高校と進んだ東京ヴェルディの育成組織ではなかなか試合に出られない時期も経験した。ただ、市川コーチがグラウンドに見に行くと、Bチームで練習する藤田の声が響き渡っていた。「試合に出られなくても、くさらずにやっていた。彼はきっと上に行くと思っていた」
大事な試合の前にミーティングを開いたり、興奮した仲間をときに叱責(しっせき)してなだめたり。23歳以下の選手たちが集うチームでも、主将としての存在感は際立つ。
小さい頃からの夢はイングランドのプレミアリーグでプレーすること。スカウトも集う今大会で、その名を広める活躍に期待したい。(照屋健)
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