未踏のK2絶壁で何が 「世界最強」登山家2人が遭難前に残した言葉

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吉沢龍彦 金子元希 黒田早織
【動画】【解説人語】K2で世界的な邦人登山家が遭難 経験豊富な2人に何が
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 山岳カメラマンの平出和也さん(45)と中島健郎さん(39)がパキスタン・カラコルム山脈のK2(標高8611メートル)の未踏ルートで滑落し、救助打ち切りとなった7月末の遭難で、事故に至る前の足取りが通信記録などからわかった。「世界最強」と評された登山家の2人。関係者は、想定外のアクシデントが起きた可能性があるとみる。

日本の山気象予報士と通信

 2人が挑んだのは、世界第2位の高峰K2の西壁にある未踏ルート。酸素ボンベを持たず、装備を減らして少人数で登る「アルパインスタイル」で臨んだ。ロープで互いを確保しながら登ることが多い。

 2人は、山岳気象予報士で、日本国内唯一の山岳気象会社「ヤマテン」の社長を務める猪熊隆之さんと衛星通信機で連絡を取り合っていた。猪熊さんは日本から現地の気象情報を伝えていた。

 通信の記録や2人のインスタグラムの投稿などによると、6月17日にふもとを出発。23日にはK2の南側の基部のベースキャンプ(BC)に着いた。

 それから約1カ月は、時折雪が降るなどの悪天に見舞われて様子を見ていたが、7月下旬に好天の周期が訪れる予報となった。

7月26日に届いた最後のメッセージ

 そこでアタックを決断。7月…

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この記事を書いた人
吉沢龍彦
ネットワーク報道本部
専門・関心分野
教育、子育て、選挙、地方自治、日本近現代史、くらし、まちづくり、登山
金子元希
ネットワーク報道本部次長
専門・関心分野
登山、自然、司法、教育、eスポーツ
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    金子元希
    (朝日新聞ネットワーク報道本部次長)
    2024年8月22日10時9分 投稿
    【解説】

    ちょうど1年前の夏、私と平出和也さんは山小屋の同じ部屋に泊まっていました。 90歳のプロスキーヤー三浦雄一郎さんが車いすで富士山の山頂をめざすことになり、私は取材する記者として、平出さんはサポートするメンバーの一人として参加していま

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