最低賃金、衝撃の引き上げ「徳島ショック」 知事介入で算出法を一変

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筒井竜平 能登智彦 小泉浩樹
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 最低賃金の今年の改定額が47都道府県で出そろった。徳島県では過去に類を見ない84円の引き上げとなり、衝撃が広がった。こうした背景には、人材流出を懸念した引き上げ競争の過熱がある。「後出し」の形になった県が最下位を逃れる様子を「チキンレース」と批判する声も上がる。

 「プラス84円? 信じられない。地域経済の実態に合っているとは思えない」

 中小企業団体の幹部は、徳島県の最低賃金が84円増の980円になると知り、驚きを隠さなかった。国側が示した50円という目安を大幅に超える異例の引き上げとなったためだ。

 現状、徳島県の最低賃金は全国で2番目に低い。これに強い不満を示していたのが、後藤田正純知事だ。知事に最低賃金を決める権限はないが、後藤田氏は審議会に大幅アップを繰り返し要請してきた。

 「全国ワースト2位という現…

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    首藤若菜
    (立教大学教授=労働経済学)
    2024年8月29日22時15分 投稿
    【視点】

    そもそも中央最低賃金審議会が示す目安額は、あくまでも「目安」であり、地方最低賃金審議会の決定を拘束するものではありません。地方最低賃金審議会は、「目安」を参考に、自主的に決定することになっています。 行政トップが最低賃金について問題提起す

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    能條桃子
    (NOYOUTHNOJAPAN代表)
    2024年8月31日0時25分 投稿
    【視点】

    最低賃金は全国一律になっている国の方が多く、地域別は少数派です。 日本が最低賃金を地域別にしている背景として、高度経済成長期に地方の工場や労働の現場で、都心の発展を支えたということがあるかもしれません。その時代は、物価にも大きな差があり、そ

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