第2回「実質負担ゼロ」少子化対策、財源あやふや 次の首相は向き合えるか

有料記事政策検証・岸田政権の3年

川野由起

政策検証 岸田政権の3年(2)

 岸田文雄首相が3年の任期をもって退陣します。「選択的夫婦別姓」や少子化をめぐる対策など、棚上げにしてきた政策は数知れず。宿題は次の首相に引き継がれます。主な課題を6回に分けて検証します。

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 「待ったなしの少子化に対応するために、3.6兆円の大規模な少子化対策を実行する」――。岸田文雄首相は8月、自民党総裁選への不出馬を表明した会見で、実績の一つに少子化対策をあげて胸を張った。「大きな成果を上げることができたと自負している」

 9月の自民党総裁選でも関心が集まっている。8月24日に出馬表明した石破茂氏は「社会保障全般を見直し、安心していただける年金、医療、介護、子育てを確立する」と言及。26日に表明した河野太郎氏は「子育てサービスのオンライン手続きの一元化」を掲げる。

 だが、政権が進めてきた少子化対策の財源確保は道半ばだ。

 政府は「2030年代に入るまでが少子化傾向を反転できるラストチャンス」とし、昨年末、年3.6兆円規模の少子化対策を盛り込んだ「こども未来戦略」を閣議決定。今年6月には関連法を成立させた。

 「役人の発想では、到底積み上げられない金額」(政府関係者)という言葉通り、拡充策は手厚い。

 目玉は児童手当の充実だ。所得制限を撤廃し、支給期間を中学生から高校生年代まで延長。第3子以降は3万円に増額する。ほかにも、保護者の就労要件を問わず保育所などを利用できる「こども誰でも通園制度」の創設や、育休時の給付額を手取り8割相当から10割相当に引き上げる新制度などが並ぶ。

 一方、肝心の財源は煮詰まっていない。

 28年度までに集める年3.…

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この記事を書いた人
川野由起
くらし報道部
専門・関心分野
こどもの虐待、社会的養育、ケア、依存症、生活保護