今年1月9日、日本武道館。視線の先で、「推し」の前髪が揺れていた。
セーラー服姿がトレードマークの「新しい学校のリーダーズ」のコンサート。清水達也さん(65)は初めて目にした4人のメンバーに、一瞬で心を奪われた。
昭和の空気をまとった楽曲と、エネルギッシュで前衛的なダンスの連続。フィナーレまでの約2時間、立ちっぱなしで腕を振り、声をからした。
「大学の学園祭で、RCサクセションのライブを見たとき以来の衝撃でした」
このコンサートを皮切りに、これまで名古屋、大阪、福岡まで公演を見に行った。二つあるファンクラブの「ダブル会員」になり、11月から始まるツアーでは全国6公演の予約を済ませた。
くさらず前向きに、若かりし自分とシンクロ
今でこそSNSの総フォロワー数が1500万を超え、紅白歌合戦にも出場を果たしたリーダーズだが、一朝一夕に売れたわけではない。
結成はまだメンバーが10代半ばだった2015年。なかなかヒットせず、アルバイトの日々。それでも地道にSNSに動画を上げ続けると、米国の音楽レーベルから声がかかり、海外のフェスなどを回るようになった。
海外で先に火がつき、代表曲になった「オトナブルー」で一気にブレークしたのは23年のことだ。
辛酸をなめてもくさらず、前向きに汗をかく姿が、どこか若い頃の自分とも重なり、共感を覚える。
まだ元号が昭和だった1982年。新卒で入ったリクルートは、煮えたぎるような刺激に満ちていた。
今や8千億円規模ともされる「推し活」市場。はまる年齢もさまざま。キャリアの転機に「推し」と出会い、ミドル世代からの「リア充」を成し遂げた2人の男性の物語です
「ビル倒し」…
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