「原因不明の肺炎」報告
新型コロナウイルス検出
世界累計感染者数(人) -
中国・武漢市で、閉鎖された海鮮市場の前に立つ警察官=2020年1月10日:ロイター
中国が2019年12月31日、武漢市で「原因不明の」肺炎の集団感染が確認されたと世界保健機関(WHO)に報告した。1月9日には国営メディアの報道で、中国の専門家グループが新型コロナウイルスを検出したことが明らかになった。最初の集団感染は「華南海鮮卸売市場」で発生したとされ、市は23日から、全域で市民の移動を制限する都市封鎖に乗り出した。
習近平国家主席は25日、共産党最高指導部の政治局常務委員会を招集し対応を協議し、「感染症の拡散を断固防止する」と強調。その後、国外旅行を含むツアー禁止などが相次ぎ発表された。台湾が中国からの観光客の受け入れを停止し、フィリピンが武漢市との直行便を停止するなど、中国との往来を制限する国や地域も出始めた。
この後、武漢市の封鎖は4月8日まで約2カ月半に及んだ。
中国の感染者SARS超え
世界への拡大が本格化
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中国・南京で、春節の休日中に駅に到着した乗客の体温をモニターで確認する防護服姿の作業員=2020年1月27日:ロイター
中国では1月下旬までに、ほぼ全土に感染が拡大した。発表では29日時点で中国本土の感染者は5974人に達し、2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の5327人を上回った。この後、ドイツやイタリア、インドなどに広がり始めた。
2月下旬には、韓国・大邱の新興宗教団体や周辺地域の病院で集団感染が発生し、患者が急増した。世界保健機関(WHO)は27日、中国国外の1日当たりの新規感染者が2日連続で中国国内の数を上回ったと発表。韓国は中国に続き2番目に感染者が1千人を超え、この時期から世界各国への拡大が本格化した。
文在寅大統領は3月1日、日本統治下の独立運動を記念する式典の演説で国内の感染拡大に言及し、「一つの国では解決が難しい課題で、北朝鮮や中国、日本との協力強化で脅威に対応できる」と訴えた。
WHOがパンデミックと認定 イタリアやイランでも急拡大
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現状を「パンデミックとみなされると評価した」と述べたテドロスWHO事務局長(右)=2020年3月11日:ジュネーブ、吉武祐撮影
世界保健機関(WHO)は3月11日、新型コロナウイルスの感染拡大について、世界的な大流行を意味する「パンデミック」と認定した。WHOがパンデミックの表現を使うのは、2009年の新型インフルエンザ以来、11年ぶり。中国で新たな感染が下火になる一方、イタリアやイランなどが拡大の起点となり、移動の自由が大きい欧州で一気に広がり始めていた。
WHOのテドロス・アダノム事務局長は「これは制御可能なパンデミックだ」と述べ、感染者の隔離などで封じ込められると強調。各国に広範なウイルス検査や感染者特定などの対策をさらに強化するよう訴えた。中国やイランからの入国を規制していた米国が対象を欧州に広げるなど、往来への制限も世界中に広がった。同時に、トランプ氏は演説で「金融危機ではない。乗り越えられる一時的なものだ」と語っていた。
世界の死者10万人に
イタリアなど欧米で深刻化
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飲食店が閉店し、人通りがなくなったバチカン近くの広場=2020年3月12日:ローマ、河原田慎一撮影
新型コロナウイルス感染による世界の死者が4月11日、10万人を超えた。米ジョンズ・ホプキンス大が集計した。3月に死者数で中国を上回って世界最多となったイタリアや米国、スペインを中心に、欧米への感染拡大が深刻化した。
イタリアは3月10日、全土で不要不急の外出を禁止したが、ウイルス封じ込めに失敗。患者が集中したイタリア北部は「医療崩壊」の危機に直面。多くの感染者を出した中国、韓国などに比べて高い致死率が問題になった。イタリアのコンテ首相は21日の演説で、「戦後で最も難しい挑戦。一人でもあきらめれば全員がより大きな危険にさらされる。結束してやり遂げよう」と国民に呼びかけた。
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は「致死率はインフルエンザの10倍と推定される」と述べ、このウイルスの危険性を訴えた。
世界で感染者1千万人
北南米を中心に感染者が急増
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ブラジル・マナウスの墓地で、新型コロナウイルスによる犠牲者を見送る親族=2020年6月26日:ロイター
世界の感染者が6月28日、累計1千万人に達した。米ジョンズ・ホプキンス大が集計。翌日には死者数も50万人を超えた。
感染者は欧州で落ち着いてきた一方、北南米を中心に急増。一時は拡大ペースが収まりつつあった米国が世界で最多となり、ブラジルが2番目となった。ペルーやチリも上位に入るまで増加した。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は19日の会見で「世界は新たな、危険な局面に入っている」と警戒を呼びかけていた。
7月7日には、ブラジルのボルソナーロ大統領が自らの感染を発表した。「ちょっとした風邪」と新型コロナウイルスを軽視する姿勢を見せてきたボルソナーロ氏は「雨みたいなもので、みんながかかる」「(死者の増加は)ウイルスのせいではなく、別のことが原因だ。怖がりすぎることはない」などと語った。
世界の感染者2千万人に
インドの増加が顕著
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インド・ムンバイの学校で、フェースシールドとマスクを着用し、男性の体温を確認する医療関係者=2020年8月10日ロイター
世界の累計感染者数が8月11日、2千万人に達した。米ジョンズ・ホプキンス大の集計では、特にインドでの増加が顕著で、8月上旬からは世界最多ペースに。9月に累計で世界2位となった。
インドではもともと脆弱な医療体制がさらに厳しくなり、大都市を中心に医師や集中治療室(ICU)が不足する事態に陥った。地元メディアによると、18歳の少年が三つの病院から受け入れを拒まれ、母親が「治療をしなければ自殺する」と主張してようやく受け入れられたが、少年はまもなく死亡したという。
主要7カ国首脳会議(G7サミット)にも影響が広がった。議長のトランプ米大統領は8月10日、大統領選後の11月に開催する考えを表明。当初の6月から2度目の先送りを迫られる格好となり、「より落ち着いた雰囲気でG7を開くことがいいだろう」と語った。
欧州に第2波到来
米国ではトランプ米大統領が感染
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新型コロナウイルスの検査で陽性となり、入院するため病院に到着したトランプ氏=2020年10月2日:ロイター
今春の第1波の後、いったんは抑え込みに成功した欧州で再び感染者が急増した。感染が局地的だった第1波に比べ、第2波は欧州全土に広がった。
「我々はいわゆる第2波の中にいる」。フランスのマクロン大統領は10月14日、テレビ番組のインタビューでそう話し、パリなどで夜間外出禁止を表明。その後、全土に広げた。
英国もイングランド全域でロックダウン(都市封鎖)を実施するなど、各国が厳しい行動規制を再導入した。比較的緩い対応をとってきたスウェーデンも、人の集まりを制限するなど対策強化に踏み切った。
米国ではトランプ大統領が2日、自身が検査で陽性になったとツイッターで明らかにした。その後も大統領選を控えて「新型コロナを恐れるな」「すぐに選挙運動に戻る」などとツイートし、危険性軽視の姿勢に拍車をかける形となった。
世界の感染者が7千万人に 最多の米国に第3波
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米ワシントンで、新型コロナウイルスの検査場に並ぶ人々=2020年11月18日:AFP時事
世界の新型コロナウイルスの感染者が12月12日、累計で7千万人を超えた。米ジョンズ・ホプキンス大が集計。この時点で死者数は約160万人にのぼった。
中でも、感染者数と死者数がともに世界最多の米国に激しい「第3波」が到来。一時は1日あたりの新規感染者数が約17万人と過去最悪のペースで増え続け、連日1千人規模の死者が出た。11月には、教育管区として全米最多の児童・生徒がいるニューヨーク市で、希望者を対象に再開していた公立校の授業が再びオンライン化された。
バイデン次期大統領は11月25日の演説で「ウイルスは我々を分断させ、怒らせ、対立させてきた。しかし、我々はお互いとではなく、ウイルスと闘っていることを思い出す必要がある」と述べ、マスクの着用や多人数での集まりの自粛などが重要として、国民に結束を呼びかけた。