パトカーにはねられ女性死亡、「大した価値はなかった」と警官が笑う音声が浮上 米シアトル

still image from the bodycam video

画像提供, Seattle Police Department

画像説明, 警官のボディカメラ映像の静止画。この映像の音声では、パトカーにはねられて死亡した女性について警官が笑いながら話しているように聞こえる

米ワシントン州シアトルの警察は11日、パトカーにはねられて死亡した女性について警官が笑いながら話しているように聞こえるボディカメラ映像が見つかり、調査を進めていると発表した。

ノースイースタン大学の大学院生だった、インド系のジャーナヴィ・カンドゥラさん(23)は1月23日、大学近くの道路を横断中にパトカーにはねられて死亡した。

地元紙シアトル・タイムズは、パトカーは時速119キロで走行しており、カンドゥラさんは30メートル以上はね飛ばされたと、警察の調査報告書を引用して報じた。

問題となっているのは、通報を受けて事故に対応したダニエル・オーデラー警察官の音声。同僚との電話の内容が、ボディカメラに記録されていた。

同警察官は、「でもさ、彼女は死んでいる」と笑いながら話しているように聞こえる。

「いや、一般人だ。そう、小切手を渡せばいい」

「1万1000ドル(約162万円)だ。どうせ26歳だったのだから。彼女に大した価値はなかった」といった発言も残されている。

オーデラー警察官はシアトル警察の組合のリーダー。この音声は、組合のマイク・ソラン会長と通話中のものだった。ソラン会長の音声は確認できない。

当該音声について、オーデラー警察官は、文脈から切り離されて引用されていると主張している。

Jaahnavi Kandula

画像提供, Gofundme

画像説明, パトカーにはねられて死亡したジャーナヴィ・カンドゥラさん

「発言の性質に懸念」

シアトル警察は11日に声明を出し、当時の会話が発覚したのは、「日常業務の流れの中で」聞いたという職員が指摘したためだったと明らかにした。

その職員は、「発言の性質に懸念を抱き」、上司に報告したという。

当局はその後、警察の不正行為を調査する、警察説明責任局(OPA)にこの問題を引き渡した。

OPAは、当該発言がなされた「背景」と、何らかのポリシーに違反していないかを調査していると、警察は説明している。

保守派のラジオ司会者、ジェイソン・ランツ氏は、オーデラー警察官本人から声明を入手したと報告。その中で同警察官は、シアトル市の法務官がカンドゥラさんの死に対する責任を最小限に抑えようとするかもしれないことを、まねしたものだったと主張しているとした。

同警察官はまた、「私はこうした事案がどのように訴訟にもちこまれるのか、そのばかばかしさを笑っていた」と説明しているとした。

もうひとつの監督機関であるシアトル地域警察委員会は、「胸が張り裂けるような、衝撃的なほど無神経な」ボディカメラ映像だとした。

アフリカ系アメリカ人コミュニティ諮問委員会のヴィクトリア・ビーチ委員長は、地元メディアに対し、「ショックを受けた、さまざまな感情が込みあげてきた」、「気分が悪くなる内容だった」と語った。

「亡くなった人のことを笑える人がいるなんて、とても動揺した」

キング郡検察局はカンドゥラさんの交通事故について刑事捜査の見直しを行っている。