ラガルド総裁が来年の利上げ観測否定も不十分、市場はなお期待
Alexander Weber、Carolynn Look-
インフレは当初の想定以上に長く続く可能性認める
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市場が先走っているか、「答える立場にない」
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欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は28日、超緩和的な金融政策へのコミットメントを強調しようとしたが、十分ではなかった。市場は引き続き、来年にも利上げがあると見込んでいる。
ラガルド総裁は政策発表後のバーチャル記者会見で「市場が利上げを予想している時点、あるいはその後の近い将来においても、ECBのフォワードガイダンスの条件が満たされることをわれわれの分析は全く支持していない」と述べつつ、その後で「市場が先走っているか、その質問には答える立場にない」と付け加えた。
さらに総裁は、インフレ上昇を「一時的」と表現するのをやめ、高インフレの局面は当初の想定より長く続く見込みだと認めた。関係者によると、政策委員会メンバーは2023年にインフレ率がECB目標の2%を超えるリスクがあるかを巡り、意見を戦わせた。
市場では引き続き、来年9月までにECBが少なくとも1回の利上げを実施するとみている。そうなれば、3月まで継続すると表明している超緩和的な緊急措置からの劇的な転換となる。
スペインでの物価上昇を示すデータや利上げを織り込む市場の動きにもかかわらず、金利引き上げは現在想定されていないという公式見解を総裁は堅持しようとした。刺激策を引き揚げつつある他の中央銀行との比較は「不快」だとし、「見通しが異なり、インフレ水準も異なる。他国ではすでにインフレが目標値か、それを上回っているところもある」と主張した。
パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の今後について決定が予想される12月を前に、今回は静かな会合になるとみられていたが、市場がECBの超低金利維持のコミットメントを疑問視する中で緊張が増した。
短期金融市場は織り込んでいた利上げ幅を総裁会見後にわずかに戻すにとどまった。来年末までに見込まれる利上げ幅は会見中に21ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)だったが、その後17bpに低下した。
ECBは総額1兆8500億ユーロ(約245兆円)規模のPEPPを3-9月に月額750億ユーロ程度のペースで実施してきた。政策委員会はそのペースを「やや」減速させるとの表現を維持し、PEPPを少なくとも2022年3月末まで継続することも確認した。
最新の経済予測が出そろう12月に、ECBがPEPPの将来について明らかにするとエコノミストらは想定している。
ECB、PEPPは「やや」減速して継続へ-インフレ加速でも慌てず
原題:
Lagarde Pushes Back Against Bets for ECB Rate Hike Next Year(抜粋)
Lagarde’s Half-Hearted Pushback Leaves ECB Hike Bets Alive (1)(抜粋)