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任天堂が通期営業益を下方修正、スイッチ年末商戦は海外苦戦

更新日時
  • 全社員の基本給を10%増額、初任給も約10%の引き上げへ-古川社長
  • 第3四半期は円高の影響で為替差益が大幅減少、年間配当は実質減配

任天堂は7日、今期(2023年3月期)の連結営業利益予想を従来予想の5000億円から4800億円に下方修正した。市場予想平均5806億円を下回った。前期比では19%の減益となる。家庭用ゲーム機「スイッチ」のハードウエア販売が年末商戦で苦戦したことが響いた。

今期の営業予想
  • 売上高:会社予想は前期比5.6%減の1兆6000億円(従来1兆6500億円、市場予想1兆7224億円)
  • 営業利益:会社予想は前期比19%減の4800億円(従来5000億円、市場予想5806億円)
  • 純利益:会社予想は前期比23%減の3700億円(従来4000億円、市場予想4652億円)

  同社は今期のスイッチ販売目標をハードウエアで1900万台から1800万台、ソフトウエアで2億1000万本から2億500万本に下方修正した。想定為替レートは1ドル=125円(従来135円)に修正し、1ユーロ=135円は維持した。

  古川俊太郎社長は会見で年末商戦について、スイッチの生産上の支障はほぼ解消し、出荷数は想定通りだったものの、「主に海外市場で過去2年の年末商戦に見られたような大きな販売には至らず、期待に届かなかった」と述べた。インフレによる消費行動の変化や、新型コロナウイルスの感染縮小で娯楽の選択肢が多様化するなどの外部要因も影響したと分析した。

Inside The Tokyo Game Show 2019
スイッチ
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  17年3月に発売したスイッチは、ハードの今期の販売計画を昨年11月、半導体不足の影響で2100万台から1900万台に下方修正していた。ソフトは昨年11月18日に発売した「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」や、9月発売の「スプラトゥーン3」が好調だったものの、低調なハードの販売が逆風になった。

  古川社長は発売7年目を迎えるハードについて、「前年を越えて伸ばしていくのは難しい。まさに未知の領域」だと説明。今後については、ソフトは今も勢いが継続しているとして「スイッチビジネス全体でみれば活性化できる」との考えを示した。

  東洋証券の安田秀樹アナリストは、年末商戦の売り上げをみるとハードの需要減に加えソフトの売り上げも鈍化しており、「スイッチが下り坂に入ったのは明らか」だと指摘。会社側の今期業績の下方修正は為替の影響もあるが、「ネガティブサプライズ」だと述べた。

  また、契約社員や嘱託社員、アルバイトを含む全社員の基本給を、定期昇給とは別に今年の4月から10%増額する方針も明らかにした。古川社長は「採用競争力を強化して中長期的に会社の総合力を高めるために、初任給も約10%の引き上げを行う予定」と述べた。

為替の影響も

  22年10-12月期(第3四半期)の連結営業利益は前年同期比25%減の1902億円で、市場予想平均2403億円を下回った。発表資料によると、第2四半期まで為替差益を営業外収益に764億円計上していたが、為替相場の変動を受けて、第3四半期には289億円に減少した。

  業績予想を修正したことに伴って、23年3月期の配当予想も見直した。これまで109円としていた期末配当を1株当たり96円に引き下げたことで、年間配当は159円(株式分割考慮後)となる。前期実績は203円だった。

10-12月期の業績
  • 売上高:前年同期比8.3%減の6382億円(市場予想6879億円)
  • 営業利益:前年同期比25%減の1902億円(市場予想2403億円)
  • 純利益:前年同期比41%減の1158億円(市場予想1559億円)

  

(アナリストコメントを追記しました)
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