2024.10.09

【特集】50代からのリセット術「私はこれを始めました/やめました」#04

50代からの「きれい」のために―― 「始めること/やめること」の見分け方

美容家 山田祥子さん

読者アンケートスタッフ座談会など、そのリアルな声が反響を呼んでいる、特集「50代からのリセット術」。そこで、美容家として活躍し、著書『50歳からのやめる美容 はじめる美容』も話題となっている「サロン・ド・メリッサ」代表の山田祥子さんをお招きしました。「何を始めるのか」「何をやめるのか」。専門家を交えて、さらに話は広がっていきます。

ウェルネスへのスイッチが入るのが
50代

人生後半を自由に、快適に、楽しく生きるために何をすればいいのか、思いを巡らせる機会は増えますよね。もちろん、私もそのひとりです。だから「同世代のみんなのリアル白書」、すごく興味深く読みました。驚いたのは、私が経営するエステティックサロン「サロン・ド・メリッサ」のお客様が語ることと、このリアル白書の内容が似ていたことです。

私は仕事柄、お客様のからだにアプローチして、「最近の体調はどうか」をテーマにお話を伺います。するとやはり、50歳前後を機にさまざまな不調が表れてくるもの。その内容は人それぞれなのですが、皆さん決意することはひとつなのです。そう、それが「健康第一」。ウェルネスに関する意気込みが真剣になるというか、その取り組みのスイッチがカチッと入る方が増えるのです。

すると、時間の使い方、お金の使い方、人づきあいまで、少しずつ変わっていきます。それが「思い切って新しく始めよう」とか「惰性で続けてきたけれど、もうやめよう」などの行動に表れる。人生後半戦を充実したものにすべく、このタイミングでどんなアクションを起こすのか、すごく大切なことなのですよね。

「運動」は、
始めるべきマスト事項!

さて、あらためて「同世代のみんなのリアル白書」を見ると、50代から何か新しいことを始めた人は8割を超えていて、なかでも「ウォーキング」や「筋トレ」など、運動にまつわることが多いようですね。これは、本当に素晴らしいことだと思います。美容家である私がまず皆さんに伝えるのは、食のこと。その皮膚、その髪の毛1本に至るまで、からだのすべては食べたものでできていますから。

ただ、いくら食に関する意識が高く、栄養管理をしっかりとしていても、50代を境に、ある習慣があるかどうかで、その先のクオリティオブライフには雲泥の差が出るように感じています。それこそが「運動」。「食習慣に気をつけるのは大前提。ただしこれからは、そこに必ず運動をたすようにしてください」。私はいつもそうアドバイスしています。自分の足で歩き続けるために、不自由のない生活を送るために、運動は必要不可欠。そう、始めたほうがいいのではなく、始めるべきことなのです。

続いて、英会話やウクレレなど趣味に関することがあがってきているのも興味深いですね。ちなみに、私が唯一長く続けている趣味はゴルフです。運動と趣味、その両方を兼ねているものですが、50歳を過ぎてからはカートではなく徒歩で回る、それもアップダウンの多いコースを選ぶようにしています。

ゴルフはあまりに奥が深すぎて、それ以外の趣味を始める余裕がないのが正直なところ。ただ大好きなお料理のレパートリーをもっと増やすこと、さらにかわいいおばあちゃんを目指すべくフラダンスを始めること。そんな心とからだをポジティブにしてくれるような趣味を始めたいと思っています。

手放すことで、笑顔が増える

さらに、50歳以降で何かをやめた人が5割を超えているのですね。これ、私はすごく大事なことだと思います。みなさん「やめる」という言葉にどんなイメージを抱いていますか? あきらめるとか投げ出すとか、あまりいいイメージがないのではないでしょうか。でも、手放すと考えてみたらどうでしょう。年齢を重ねた人ならば、この感覚に共感していただける人も多いのではないかと思うのです。

私自身も、多くのことを手放してきたように思います。そのひとつが、皆さんもお答えになっている「人間関係」ですね。先ほどもお話ししたゴルフを含めて、さまざまなコミュニティからのいろんなお誘いがありますが、一緒に時間を過ごしたいと思う相手との時間を特に大切にするようになりました。

その結果、どうなったかというと、笑顔でいる時間が増えました。それまでは、「気を使うばかりでなんだか疲れちゃったな」と思うこともあった気がします。でも、そういう時間ってこれからの人生には必要ないのかも。今は気の合う愉快な仲間と心の底から笑い合う時間が増えて、すごく気が楽になったし、幸せを感じています。あれこれとたくさんの選択肢があった日々から、自分の好きなものを選び取って質を高めていくステージへ。これからの人生について、そんなふうに考えている今日この頃です。

次回は、引き続き山田祥子さんに、五感のセンサー磨きについて伺います。

  • 美容家 山田祥子
  • 山田祥子 「サロン・ド・メリッサ」代表。セラピスト。分子整合栄養医学協会会員。日本抗加齢医学会正会員。美容商社にてエステ講師として活躍後、1992年1月「サロン・ド・メリッサ」を東京・恵比寿に開業。30年以上肌やボディのケアを行う。医療機関とも提携し、分子整合栄養学に基づく栄養療法や食事も指導。女優・モデルや美容ジャーナリストらの顧客も多く、美容雑誌、Webなどでの監修でも活躍。 「サロン・ド・メリッサ」
構成・文/本庄真穂
デザイン/日比野まり子
イメージ写真・イラスト/stock.adobe.com
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