豊洲市場の開場から約5年遅れて、集客施設「豊洲 千客万来」がオープンする。
撮影:土屋咲花
東京都江東区の豊洲市場に隣接する集客施設、「豊洲 千客万来」が2月1日にオープンする。元は2018年の豊洲市場開場と合わせて開業する計画だったが、事業者の変更や新型コロナウイルス禍も影響し、予定よりも大きくずれ込んでのオープンになった。
運営する万葉倶楽部が1月29日、報道陣などに施設を公開した。
年間合計260万人来場見込む
「豊洲目抜き大通り」。イートインも食べ歩きも楽しめる。
撮影:土屋咲花
千客万来は、飲食店が立ち並ぶ食楽棟「豊洲場外 江戸前市場」と、温浴棟「東京豊洲 万葉俱楽部」の二つからなる。国内の観光客やインバウンド客の来館を見込むほか、近隣に住む人や働く人も気軽に利用できる施設を目指す。
食楽棟は年間200万人、温浴棟は年間60万人の利用を見込んでいる。
施設の特徴を見ていこう。
市場の活気を表現
市場のにぎわいを表現している「目利き横丁」。
撮影:土屋咲花
卵焼き専門店の「丸武Premium」では、千客万来限定の玉子焼を提供する。
撮影:土屋咲花
食楽棟は、地上1階から3階までのフロアに飲食店や物販店が入る。
1階は、日常的に食を楽しむフロア。近隣住民やオフィスワーカーの日常利用を想定する。ラーメン店や和食店などが並ぶ。
2階は最もテナント数が多く、江戸時代の活気があふれる市場を表現したフロアだ。通りの左右に店舗が立ち並ぶ。
屋内の「目利き横丁」には仲卸事業者などが出店し、厳選された旬の食品を購入したり、食べ歩きを楽しんだりできる。
屋外の通りは「豊洲目抜き大通り」と名づけられている。うなぎや寿司などの名店が出店し、東京の食の魅力を発信する。
でき立ての卵焼きをテイクアウトできる店舗やうなぎ屋、もんじゃ焼き店などがそろい、店先から漂う香りが食欲を誘うエリアだ。
HISが飲食店出店
HISが運営するバイキングレストランでは、マグロの解体ショーが行われる。
撮影:土屋咲花
3階はすし店が中心に出店し、席数を多くそろえたフードコートエリアや、団体利用可能な飲食店などでインバウンド客を出迎える。
中でも、旅行会社のエイチ・アイ・エスが展開する「海鮮バイキング いろは」は130席の広い店内が特徴だ。17時以降は団体による貸切営業のみ。バスツアーの受け入れや、インバウンド客の取り込みを想定する。
見どころはマグロの解体ショーで、市場の休業日以外は毎日開催するという。
新鮮な海鮮が食べ放題だ。
撮影:土屋咲花
フードコートエリアに出店した「江戸辻屋」の海鮮丼。インバウンド意識の「世界で人気の3種丼」は税込み5200円。
撮影:土屋咲花
万葉俱楽部は24時間営業
海が一望できる露天風呂。
撮影:土屋咲花
入館者用の足湯。360度のパノラマビューだ。
撮影:土屋咲花
全国に展開する万葉俱楽部による11番目となる温浴施設「東京豊洲 万葉俱楽部」は、24時間営業。
毎日トレーラーで運搬するという箱根・湯河原温泉の名湯が大きな特徴だ。
温泉だけでなくサウナや岩盤浴、リラクゼーションエリアも備えるほか、宿泊も可能。客室は71室を備える。
施設は地下1階、地上9階建て。高層階には、豊洲の海を一望できる足湯がある。温泉などへの入浴は入館料が必要だが、8階の足湯は誰でも無料で利用できる。
テナント数は計画の半数以下
万葉俱楽部の高橋眞己副社長。
撮影:土屋咲花
2015年から構想し、コロナ禍を経てようやく開業にこぎ着けた「豊洲 千客万来」。元々、事業者の万葉倶楽部は170のテナント誘致を提案していたが、テナント数は最終的に約70店と半数以下にとどまった。
コロナ禍での誘致で苦戦したことに加え、出店者側からは効率面などからより広い店舗で営業したいという要望があったという。万葉俱楽部は124区画を用意したが、実際には複数の区画を使い、店舗を広く取ったテナントが多かった。
同社の高橋眞己副社長は
「124区画作ったのですが、実際にテナントさんと交渉する中で、『いやいや、そんな小さな店舗ではご時世的に難しいよ』と。そういった部分で、どうしても店舗数が減ってしまった。テナントさんの入れ替えもいずれあるでしょうから、その時は少しでも店舗数を増やしていきたいなと思っています」
と話した。