メキシコで続く深刻な干ばつ… その影響は宇宙からも「見える」ほど

干ばつ

Jose Luis Gonzalez/Reuters

  • 深刻な干ばつに見舞われているメキシコでは、国の85%以上が被害を受けている。
  • ほとんどの水源で貯水率が50%を下回っていて、水不足は周辺の野生生物にも影響を与えている。
  • 1月から6月の間に、水位が大幅に減ったある湖の様子を衛星画像が捉えていた。

メキシコがここ10年で最も深刻かつ広範囲に及ぶ干ばつに見舞われている。地域によってはあまりにも水位が低下したため、その変貌ぶりが宇宙から確認できるところもある。

例えば、メキシコ北部のブスティージョス湖(Bustillos Lagoon)は貯水量が通常の50%まで低下している。アメリカ地質調査所(USGS)は先月、地球観測衛星ランドサットが捉えた画像を公開し、6月の湖の大きさを半年前の1月の大きさと比較した。

ブスティージョス湖

ブスティージョス湖の様子。右が6月に撮影された、貯水率50%に低下した湖。

USGS Earth Resources Observation and Science Center

水位の低下は、何千匹という魚たちにとって致命的だった

水位の低下は汚染物質を濃縮させ、水質を悪化させ、魚にさらなるストレスを与えていると、クアウテモック市環境局のイルマ・デ・ラ・ペーニャ(Irma de la Pena)局長は6月、CNNに語った。

魚

メキシコのチワワ州では、水位が低下した影響で多くの魚が死んだ。

Jose Luis Gonzalez/Reuters

ブスティージョス湖はチワワ州にとって重要な水源であり、主に約2万区画の農地に水を引くために使用されている。水不足の影響で、チワワ州の人々は作物が枯れたり、家畜が弱っていくのを目の当たりにしてきた。

ただ、こうした状況に陥っているのはブスティージョス湖だけではない。アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、5月には国土の85%以上が干ばつの影響を受けていて、中には2022年の終わりからほとんど雨が降っていない地域もある。

干ばつに見舞われたメキシコ各地の湖の様子はこちら:

「(この干ばつは)メキシコ北西部でも中南部でも、降水量の不足という意味でかなり大きな赤字をもたらした」と世界自然保護基金(WWF)の水のある景色部門の責任者デレク・ボルマー(Derek Vollmer)氏はBusiness Insiderに語っている。

宇宙から捉えた様子も荒涼としているが、地上で撮影された映像は干ばつに耐える人々、植物、動物にとってさらに厳しい現実を示している。

農家の中には家畜に十分な水を与えることができず、暑さと乾燥の中、命を落とした牛やロバもいる。状況があまりにも厳しいため、この地域を離れた農家もいると、ある農場経営者は6月、ロイターに語った。

家畜

家畜も干ばつに苦しんでいる。

Jose Luis Gonzalez/Reuters

ハチも死んでいる。

「干ばつのせいで、今は周辺にほとんど植物もない」とある養蜂家はロイターに語った。水不足で、花が咲かない野草もある。

その結果、花粉を求めるハチは限られた農作物に目を向けるようになり、除草剤によって大量死している。

養蜂

干ばつの影響で、養蜂家も多くのハチを失っている。

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異常に乾燥した年

ランドサットのデータを使い、研究者たちはメキシコの今回の干ばつが2011年の干ばつよりも広範囲に及んでいることを突き止めた。今回は北部と中南部の2つの地域に影響を及ぼしているからだ。

「何百マイルも上空の宇宙から、わたしたちは干ばつといったものや、風景の微妙な変化を見ることができる」とUSGS地球資源観測科学センターのテリー・ソウル(Terry Sohl)氏はBusiness Insiderに語った。

干上がったダム

干上がったダムを覆う魚の死骸。

Jose Luis Gonzalez/Reuters

今回の干ばつは、さまざまな要因によって引き起こされた。2023年はエルニーニョ現象の影響で、北部では例年のような雨が降らず、弱いラニーニャ現象は南部と中部の降水量に影響を与えた。NOAAによれば、2024年の前半も非常に乾燥していて、状況をさらに悪化させた。

6月の熱帯性低気圧は中部と南西部に多少の雨をもたらしたものの、メキシコ北西部は依然として干ばつに苦しんでいる。

メキシコでは現在、水源の半数以上で貯水率が50%を下回っている。「これを取り戻すには、さらに多くの雨が必要だ」とボルマー氏は話している。

「一度の雨で干ばつから解放されるわけではない」

同氏によると、地域によってはより乾燥した状況が常態化する可能性もあるという。干ばつは過去の平均に基づいて分類されるが、「わたしたちは新しい状況に移行している」とボルマー氏は語った。かつて"干ばつ"であったものが、今では"ニューノーマル"になっているのかもしれない。

将来の干ばつを防ぐための対策もいくつか考えられる。WWFはメキシコで、水位を一定以上に保つための措置を実施することで、地域社会が水源を確保するのを支援する活動を行っている。これはもともと生物多様性を守るための取り組みだったが、「干ばつに対する保険のようなものだと認識されつつある」とボルマー氏は話している。

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