元社員が勤務していた第一生命の徳山分室が入るビル

 第一生命保険の元社員の女性(89)が周南市で在職中、顧客24人から計約19億5千万円をだまし取った問題で、顧客1人が元社員と第一生命に損害賠償を求めた訴訟の進行協議が26日、山口地裁周南支部であり、第一生命側が実損を全額支払う意向を示した。和解が成立する見通し。

 周南市の女性が1千万円をだまし取られたとして提訴していた。原告弁護団の末永汎本弁護士によると、第一生命側は既に肩代わりして払った300万円に加え、残る700万円の弁済を提案したという。末永弁護士は「請求がほぼ認められたのは当然で遅過ぎたくらいだ」と述べた。

 これまで第一生命は被害額の3割を弁済し、残りは利息の受け取りなど被害者ごとの事情を考慮する方針を示していた。「被害者には個別に対応しており、協議内容についてはコメントを控える」としている。

 同社の報告書などによると、元社員は社内で唯一「特別調査役」の肩書を持ち、顧客に架空の金融取引を持ち掛けていた。昨年7月に解雇し、山口県警に刑事告発した。(川上裕)