新種牡馬ドレフォン ダートのスプリンターと見る自体、根本的に間違っていた【本城雅人コラム】
2021年7月5日 06時00分
◇コラム「ぱかぱか日和」
キタサンブラック、イスラボニータ、サトノアラジンなど今年も内国産の新種牡馬が注目を浴びる中、米国産のドレフォン産駒の活躍が目立つ。5日現在で4勝。とはいえドレフォンはブリーダーズカップダートなど米国のダート短距離でG1を3勝。父親はジオポンティで芝の中距離を走ったが、しょせんはストームキャット系。母系に入ったらまだしも、スピードで勝ち上がるものの、その後、ダートの短距離体系が整備されていないJRAで勝ち続けるのは難しいと私は見ていた。
ところが種付けは200頭以上の人気だし、2019年のセレクトセールではアドマイヤセプターの19(登録馬名デシエルト)が2億5000万円で落札された。4勝には6月26日の東京芝1800メートルを上がり3F33秒3で差し切ったジオグリフもいる。ダートのスプリンターと見る自体、根本的に間違っていた。
ドレフォンを購入したのは社台グループだ。かつて社台スタリオンステーションがサクラバクシンオーを購入した時、吉田勝己さんは「こういう種牡馬もうちには必要なんですよ」と言い、数々の名馬を作った。父も母もサンデーサイレンス系→ディープインパクト系が多くなり、全体にスピード志向になる。そこでスタミナを求めるのではなく、パワーを持ったスピードタイプと配合する。日本競馬はどんどん時計が速くなっているのだ。なにもスピードを鈍化させることもない。
吉田照哉さんは「うちは成功の何倍も失敗してるんですよ」と謙遜するが、失敗で終わらせるのではなく、何が合わなかったのかなどスタッフが必死に考えるところに次の成功があるのだろう。新馬戦が始まって4週目で、こういうのは早計過ぎるが、私は1994年7月9日の札幌の新馬戦で、社台グループの2頭の新種牡馬、ジェイドロバリー産駒のエイブルカグラ(鞍上・武豊)、サンデーサイレンス産駒のプライムステージ(鞍上・岡部幸雄、ともに伊藤雄二厩舎)が勝った時と同じくらいの衝撃を受け、活躍を期待している。(作家)
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