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「どうした、おまえ」キタウイング ”イン強襲” の重賞2勝目に小島師も笑顔で杉原を出迎え【競馬】

2023年1月9日 18時10分

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内から抜け出し、メイクアスナッチの猛追を振り切るキタウイング(左)

内から抜け出し、メイクアスナッチの猛追を振り切るキタウイング(左)

◇9日 「第39回フェアリーS」(G3・中山・芝1600メートル)
 3歳牝馬限定のG3は11番人気のキタウイングが、昨年8月の新潟2歳Sに続く重賞2勝目。鮮やかなイン強襲を決め、2着のメイクアスナッチ(7番人気)との叩き合いを頭差で制した。杉原誠人騎手(30)=美浦・フリーと小島茂之調教師(54)=美浦=はともに同レース初勝利。
   ◇   ◇
 ここしか進路はない。直線坂下、内ラチと逃げ馬の間のわずかな空間。イチかバチかで突っ込んだ杉原の導きに応え、キタウイングが1頭分の隙間をこじ開けて突き抜けた。
 前走の阪神JFは初めて先行策に打って出て14着。今回はいつも通り後方待機からの直線勝負と陣営の作戦は一致していた。今の中山の馬場は後ろすぎると届かない、というのが一致した見方。それでも同馬の良さを引き出す最善策は末脚勝負。後方2番手でじっくりと脚をため、直線は夏の新潟で強気の連闘を実らせ重賞タイトルをつかんだ勝負根性と底力にかけた。
 2つ目の重賞勝ちを飾った人馬を出迎えた小島師は殊勲の杉原に「どうした、おまえ」と最内を見事に割って出てきた騎乗をたたえ、「普通だったら前が詰まるでしょう。勝つ時ってこういうものなんですよね」と笑顔を見せた。
 同じミルファームの勝負服を着た昨夏のアイビスSDで重賞初制覇を果たした杉原は自身の重賞2勝目。調教の感触から狭いスペースにもひるまない気持ちの強さは把握していた。「(直線は)狭い所しかなかった。馬の根性に助けられました。道中は周りを囲まれることもなくリズム良く走れた。気持ちの強い馬です」とメンタルの強じんさを勝因に挙げた。
 4月の桜花賞へ大きく期待が膨らむ勝利に小島師は「桜花賞で一線級と戦うには、まだ何かが足りない。それを補うのは、この馬の場合は経験値だと思う」と実戦を重ねていく構えで、トライアルから本番という青写真を描く。関東の一番星から世代のトップへ。しばし翼を休め、さらなる飛躍を目指していく。

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