フィリピン前市長、逃亡先のインドネシアで逮捕 中国の犯罪組織と関与か
(CNN) 中国の犯罪ネットワークとの関係が疑われフィリピンで指名手配されていた同国の前市長が、数週間にわたる逃亡の後にインドネシアで逮捕された。フィリピン当局が4日に発表した。今後起訴される見通し。
同国の移民当局が中国人と特定したバンバン市のアリス・グオ前市長(34)は、今年7月にフィリピンを脱出した。グオ容疑者を巡っては、当局によるバンバン市での大規模な詐欺グループの摘発を受け、その素性に関する臆測が渦巻いていた。
フィリピン議会はこの数カ月、グオ容疑者の疑惑を調査。上院の公聴会では違法賭博やマネーロンダリング(資金洗浄)、人身売買、詐欺などの疑いが取り沙汰されてきた。
グオ容疑者は公職に選出されてから2年以内で巨額の資産を築いた。調査の中で行方をくらまし、国外へ脱出したとみられている。
当局はグオ容疑者がマレーシア、シンガポールを経由してインドネシアに入ったとみている。インドネシア警察は4日未明に同容疑者を拘束した。
フィリピンのマルコス大統領はフェイスブックに投稿したビデオ声明で法執行機関によるグオ容疑者の逮捕を称賛。「この逮捕を、司法の手を逃れようとする者たちへの警告にしよう。逃げても無駄だ。司法の手は長く伸び、必ず犯罪者を捕まえる」と述べた。
フィリピン当局は今年3月、バンバンにある中国人向けのオンラインカジノ施設を摘発。議会上院は5月7日、同市の実態把握のためグオ容疑者に対する公聴会を開くよう命じたが、同容疑者は殺害予告や精神状態の不調を理由に少なくとも3回これを欠席していた。
その間にもカジノ施設の捜査は進み、グオ容疑者と地下の賭博組織とがマネーロンダリングを行っている疑惑が浮上した。
またグオ容疑者は証言の中で、自身を中国人男性とフィリピン人のメイドとの間に生まれた子どもだと主張していたが、2005年の移民の記録に基づく上院の調査により本名が中国名であることが発覚。その後、捜査当局が同名の中国人と指紋が一致していることを突き止めてもいた。