カープ床田 泥だらけで今季初完封 走塁で転倒&出血「バリ、恥ずかしかった」
「阪神0-3広島」(10日、甲子園球場)
広島の床田寛樹投手(27)が阪神打線を5安打に抑えて今季初完封、ハーラートップタイの4勝目を挙げた。左前打で出塁した五回には走塁時に転倒し、顔やユニホームが泥だらけになったが、ド根性でマウンドに戻り粘投を続けた。これでチームは今季阪神に1分けを挟んで6連勝。首位・ヤクルトにはゲーム差なしに迫った。
勝利の輪の中心で床田に白い歯がこぼれた。九回無死一、二塁のピンチも乗り越えてプロ2度目の完封。「何とか投げ切れた」。左腕の元に駆け寄ってきた笑顔の野手陣から126球の熱投をねぎらわれ、充実感いっぱいに汗をぬぐった。
堂々と左腕を振り抜いた。六回2死一、二塁ではマルテを150キロの直球で空振り三振。一発を許せば試合が振り出しに戻る九回の場面もマルテ、佐藤輝、大山のクリーンアップを打ち取った。
終盤になっても直球は140キロ台後半。「真っすぐの感覚がすごく良かった」。カーブやスライダーなどを効果的に織り交ぜながら昨季9月21日の巨人戦以来、一人でスコアボードに0を刻んだ。
ど根性でつかみ取った白星でもある。五回の攻撃では2死から左前打で出塁。続くドラフト3位・中村健(トヨタ自動車)の左前打で三塁へ向かおうとしたが、二塁を回った直後に大転倒。顔を激しく地面に打ちつけ、泥だらけになった。
「サードに行こうと思って、コケて、バリ恥ずかしかった」
顔をタオルでぬぐうと右の下唇のできものがつぶれて出血していたが、大事には至らず、五回以降も力強い投球を続けた。
「家に帰るだけで喜んでくれるんで、もう癒やされます」
2匹の愛犬がかわいくてたまらない。チワワと、昨年から家族となったペキニーズとトイプードルのミックス犬だ。時間があれば散歩に出掛け、休日にはドッグランができる場所にも訪れる。
小型犬のため歩く歩幅は小さい。「最初はめっちゃ張り切って歩くんですけど、結構歩いたら、もうトボトボトボトボ歩いて。かわいいっす」。疲れを一瞬で取り除いてくれる存在も活躍の要因だ。
阪神戦は今季2戦2勝。“虎キラー”ぶりを発揮しハーラートップタイの4勝目だ。チームも3連勝で首位ヤクルトとのゲーム差はなし。佐々岡監督は「ほんとよく投げてくれた」と左腕に賛辞を惜しまなかった。
左のエースになると誓い臨む今季。床田は「1試合1試合しっかり投げてキャリアハイを目指す」と手綱を締めた。自信を持って振り抜く左腕でその道を切り開いていく。