お隣の国台湾では、新たに総統に就任した頼清徳氏の就任演説に反発した中国によって、軍事演習とやらの名目で、まわりを取り囲まれているようです。
しかしこのような中国の威嚇にもかかわらず、台湾市民は冷静に受け止めていて「いつもと変わらず」の生活をしているといいます。
相変わらずの中国の振る舞いに呆れるばかりです。
そんな折、中国の市井の人々を追った読売新聞上海支局の田村美穂さんの取材記事を見つけました。
内容は以下の通りです。
中国では1980~90年代の上海を描いたドラマ「繁花」が、今年大ヒットしました。
ドラマは鄧小平が92年に改革開放の加速を促す「南巡講話」を行い、株取引が盛んになった上海から始まります。
普通の暮らしを送っていた主人公の青年は、知り合いの老人から株取引を学んで成功し、上海の外灘(バンド)を代表する老舗ホテル・和平飯店に拠点を構え、実業家として成り上がっていきます。
そして事件に巻き込まれ、ライバルに事業を脅かされるなどのスリリングな展開が続いていくというストーリーになっています。
90年代に撮影された映像もはさみ、当時の上海を視聴者に懐古させる工夫が施され、中国のサイト「猫眼」によると、動画サイトでの再生回数は延べ約15億回になりました。
4月下旬、和平飯店から西に約2km離れた飲食店「苔聖園」周辺には、同店がドラマに登場する飲食店のモデルとなったころから、多くの観光客が訪れていたといいます。
友人と昼食を食べに来ていた上海市の主婦、王玉華さん(75)は「ドラマは活気があった90年代の上海を思い出させ、親しみを感じた」と話していました。
ただ、ドラマの人気は、映像の美しさや単純な懐かしさからだけではないようです。
「以前のトップは経済を重視し、人々のことを考えてくれた。今は違う」。ドラマで登場する上海名物の豚のから揚げと餅のセットを販売する店で、約40年の常連客という上海出身の男性(62)は語ります。
この男性の友人は、SNS上で当局の不満を漏らしただけで公安の取り調べを受けたといい、「いまは自由がない。思考が統一され、閉塞感しかない」と漏らしたそうです。
ドラマは自由だった時代を思い起こさせるといいます。
別の上海出身の自営業男性(66)も「今とは違い、以前は自由で挑戦できる雰囲気があった」と語ります。
停滞する経済への不安感に加え、以前と比べて不自由さを感じる社会への不満もドラマの人気の一因となったようです。